井戸の撤去は、建物や家屋の解体とは異なる専門知識が必要です。井戸は適切に撤去しないと地盤や水質に影響を及ぼす恐れがあるので、信頼できる業者に依頼することが大切です。
また、地域によっては井戸を撤去する前にお祓いや息抜きを行うことがあります。強制されるものではないですが、お祓いや息抜きを行う意味を知っておくと、必要性を検討しやすくなるでしょう。
そこで今回は、井戸を撤去する手順や費用、お祓いや息抜きについて詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
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そもそも井戸とは?
井戸は、地下水や天然ガス、地熱などの地下資源を調査・観測するために掘った穴のことです。一般的には、地下の帯水層から地下水を組み上げるために地層や岩石を掘った穴を指し、汲み上げた地下水は生活用水として使用されていました。現代では、ほとんど見かけませんが、貴重な水資源であるため、災害への備えとして残されていることもあります。
主な井戸の種類
井戸の種類は、大きく分けて以下の3つに分類されます。
- 打ち抜き井戸(打ち込み井戸)
- 堀井戸(丸井戸)
- ボーリング井戸
打ち抜き井戸(打ち込み井戸)
打ち抜き井戸は、小さな穴の開いた銅製のストレーナー付きパイプを地中に打ち込み、ポンプで地下水を吸い上げる井戸です。深さは5〜8m程といわれています。打ち抜き井戸は、家庭用から業務用までのさまざまな場所で使われています。
堀井戸(丸井戸)
掘井戸は、直径1〜2mの穴を、壁が崩れ落ちないように、石やコンクリートで補強しながら地中深くまで掘削する井戸です。円状のコンクリートに水位が浅い地下水を集めるため、地下水があるとがわかっている場所に向いています。
ボーリング井戸
ボーリング井戸とは、ボーリングマシーンと呼ばれる掘削機械を用いて掘削された井戸です。人の手では掘ることが難しい硬い地層や岩盤を掘り進めて井戸パイプを地中深くに挿入するので、他の井戸より水量と水質が安定しやすい特長があります。
ボーリング井戸の深さは一般的に20〜60mといわれていますが、地域によっては0.1〜0.6mの井戸も存在します。主に学校や畑などの水を大量に必要とする場所に使われます。
井戸における息抜きとお祓いとは?
井戸を撤去する際には、工事が始まる前に「お祓い」や「息抜き」を行うことがあります。息抜きやお祓いを行うことは法律などで強制されるものではなく、地域の風習に沿って行うものです。
息抜きとは?
息抜きとは、井戸の内部から外にパイプを通す作業のことです。息抜きは、水の神様の通り道を作る意味合いがある他、井戸にたまった水やガスが外へ抜けるようにする実用的な役割も持っています。
長い間水を通してきた井戸は、解体した後に真上に新しい建物を建てると地盤が緩み沈下する恐れがあります。息抜きを行うことで水を外に出して土地が乾燥されるため、地盤の改良にもつながります。
お祓いとは?
地域によっては、井戸の撤去前にお祓いをする風習があります。これまで貴重な水資源で生活を支えてくれた井戸に感謝の気持ちを表現する意味を持っています。
お祓いは強制されるものではなく、地域の風習によって執り行われることが一般的です。撤去する井戸がある地域に長く住んでいる人などに話を聞き、その地域の風習を調べてみるとよいでしょう。
井戸の息抜きとお祓いは誰に依頼するのがよい?
息抜きやお祓いを行う場合は、解体業者と神社に依頼します。
解体業者のなかには、息抜きに加えてお祓いの手配をしてくれる業者もいるので、解体工事と合わせて確認してみるとよいでしょう。お祓いの対応をしていない場合は、縁のある神社や近隣の神社の僧侶に依頼することになります。
井戸を撤去する手順
ここでは、井戸の撤去がどのような手順で行われるかを解説します。
お祓いを行う
お祓いは、解体作業が始まる前に行います。これまで人々の生活を支えてくれた井戸への感謝の気持ちと、解体工事の安全を祈願します。
井戸内部の不用品を撤去する
井戸内部には長年蓄積された廃材や枯れ木、不用品が残っていることがあります。これらを撤去することにより、事故やメタンガスの発生を防ぎます。
井戸内部の清掃を行う
水抜きをして、井戸内部を清掃します。清掃が不十分のまま埋めてしまうと、地盤や水質に悪影響を及ぼす可能性があるので、念入りに清掃することが大切です。また、清掃には井戸への感謝の意を込めることにもつながるので、心を込めてきれいにしましょう。
息抜きを行う
息抜きとは井戸の底からパイプを通すことをいい、井戸内部の水やゴミを取り除いてから行います。息抜きには井戸内部の湿気やガスを蒸発させる役割もあり、息抜きを行うことで、その後の埋め戻し作業もスムーズに進められます。
井戸の埋め戻しを行う
息抜きを終えたら、井戸の埋め戻しを行います。埋め戻しは井戸を掘る前の状態に戻すことが理想です。
井戸の底部分は砂や砂利などで埋め戻し、上部分は、雨水などが直接入り込まないように土状のもので埋め戻します。
井戸の土管部分を撤去する
土管部分の撤去は必須ではありません。しかし、土管を放置すると将来的に土地が陥没する可能性があるため、土地の売却価格に影響する可能性があります。将来的に売却を考えているのであれば、撤去した方がよいでしょう。
整地を行う
最後に、地中の埋め立てと地上部分の枠を撤去し整地を行います。
息抜きで井戸の底から通したパイプは、そのままにしておき建物を建てる際に撤去することが多いです。これは、井戸があった位置がわかるように印としての役割になります。
井戸の撤去工事の費用相場
井戸の解体費用の目安は10万円前後です。ただし、大きさや深さ、立地条件などにより異なり、条件によっては20万円前後かかるケースもあります。
建物の解体と合わせて井戸を撤去する場合は、解体工事で出た基礎コンクリートの砕石を埋め立てに使用できるため、3〜5万円程度で撤去してもらえることもあります。見積りの時点で井戸があることがわかっていれば、解体費用の見積もりに記載されていることが多いです。
なお、井戸の埋め戻しに基礎コンクリートの砕石を利用するかどうかは業者によって異なります。基礎コンクリートの砕石を使用しないと費用が高くなるので、見積もりの際に確認しておきましょう。
一般的に井戸の解体費用に加えて、息抜きが5,000円程度、お祓いに3万円程度かかります。
井戸の撤去を行う際の注意点
井戸の撤去は、建物や家屋の解体とは異なる注意点や意識すべきことがあります。
お祓いが必要かしっかりと考える
お祓いが必要かどうかは、地域の風習に沿って決めることが好ましいです。また、お祓いの有無は土地の売買契約をする際に影響が出る可能性があります。将来的に売却するかどうかもお祓いをするかの判断基準になるでしょう。
お祓いを行う場合は僧侶への依頼費用がかかるので、予算も踏まえたうえで検討することが大切です。
地下に建造物や埋設物がないことを確認する
井戸の撤去作業をしていると、地下に建造物や埋設物が見つかることがあります。もし見つかったとしても、安易に取り壊しを進めないようにしましょう。地下建造物は周辺の地盤を支える役割を持つため、取り除くことで近隣の家屋が地盤沈下で傾いてしまうリスクが生じます。
地下建造物や埋設物が見つかった際は、取り壊しを進める前に、井戸の周辺や地下の状態を確認する必要があると覚えておきましょう。
水質保全について意識する
井戸を解体する際は、水質保全についての意識が大切です。井戸の解体は、手順や埋め戻しに使用する土などを誤ると、地域の井戸水が汚染してしまう恐れがあります。水質を汚染しないためにも、正しい知識を持った解体業者に依頼する必要があることを認識しておきましょう。
井戸が隠れてしまっている場合もある
井戸が埋め戻されずにフタなどで隠れている場合があります。見積り時にはわからず、解体工事中に発見された場合、追加で高額な費用が発生する可能性があります。できるだけ解体前に発見できるように、現地調査で細かくチェックしてもらうことが大切です。
撤去工事は信頼できる解体業者に依頼する
前述したように、井戸は適切な方法で撤去しなければなりません。知識に乏しい解体業者が安易に撤去すると、水質汚染の可能性も高まり、近隣の住民とのトラブルに発展することも考えられます。
そのため、井戸の撤去に関する専門知識がある解体業者に依頼することが大切です。解体業者を選ぶ際は、複数の業者で見積もりを取り、金額だけでなく、現地調査をしっかり行ってくれるか、コミュニケーションが安心できるか、という点も重視して信頼できる業者に依頼しましょう。
本当に撤去が必要かどうか考えておく
井戸は貴重な水資源であり、災害時にも活用できます。土地を売却する予定があればきちんと撤去した方がよいですが、売却の予定がなければ、無理に撤去する必要はないかもしれません。本当に撤去が必要かを改めて考えておきましょう。
まとめ
井戸の撤去は、家屋や建物の解体と異なり、専門的な知識が必要です。井戸を撤去する際は、井戸の埋め戻しに関する専門知識と実績がある信頼できる解体業者を選びましょう。
お祓いや息抜きを行うか迷う場合は、まずは地域の習わしを調べたうえで判断することが大切です。土地の売却価格に影響する可能性もあるので、井戸を撤去するのかは慎重に検討しましょう。