大学進学や就職などを機に実家から独立し、お盆休みなどでしか実家に帰省しない人も多いのではないでしょうか。実家を守っていた父親もしくは母親が高齢者となり、施設に入ったり、亡くなったりした場合には、実家を管理する人が誰もいなくなり空き家となってしまいます。もしも空き家となった実家を相続し、売却する場合、空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を活用できます。
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除に関して、正しい知識を身につけることで損をせず、お得に空き家を売却することができます。本記事では、空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除の概要や適用条件などを詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。
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空き家の定義
空家等対策の推進に関する特別措置法、通称「空家法」の2条1項では、空き家の定義がなされています。空き家とは、建築物や建築物に付随するものが使用されていないことが常態化している状態を指します。例えば、物置として空き家となった実家を使用するケースは空き家と認められない可能性があります。一方で、空き家となった実家の空気の入れ替え、設備の点検などメンテナンスのために年に1回訪れるような場合であれば、あくまでも管理なので空き家という判断になる傾向にあるでしょう。
つまり、頻繁に空き家を使用する場合は居住していなくても空き家ではなくなり、空き家の掃除のために年に1回程度訪れるものであれば空き家として認められます。明らかな管理行為は問題ありません。
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除とは?
ここから本題である空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除について解説します。主な概要や計算方法、特別控除の利用の有無の違いについてチェックしていきます。
特別控除制度の概要
近年空き家は増加傾向にあり、空き家での空き巣被害など犯罪の温床になる場合や空き家での火災など、防犯防災の観点から社会問題となっています。しかも、空き家の大半は1981年まで適用されていた旧耐震基準で建てられた家なので、地震の際に甚大な被害が出る可能性が考えられます。そこで、耐震基準を満たすこと、もしくは更地にして売却することなどを条件に、3,000万円の特別控除が受けられることになりました。
制度の適用期間は平成28年4月から令和5年12月31日までを予定しており、2023年の年末が一応のタイムリミットとなっています。
譲渡所得の計算方法
譲渡所得の計算方法は、不動産の売買価格ー(不動産の取得費+譲渡費用)で算出されます。ここで算出された譲渡所得が課税対象となり、20.315%の税率をかけて出された金額が税金となります。この場合に問題となるのが不動産の取得費です。当事者が亡くなっているなどして具体的な費用がわからないことがあるからです。この場合は売買価格の5%を取得費として、計算します。
例えば売買価格が6,000万円だった場合、取得費は5%の300万円、譲渡費用が200万円とすると5,500万円が譲渡所得となります。ここで登場するのが3,000万円特別控除で、譲渡所得5,500万円から3,000万円を引き、2,500万円が課税対象となります。
制度を利用した場合としない場合の差
先ほどの売買価格6,000万円を例に、特別控除の精度を利用する場合、しない場合でいくらの税金が必要になるのかをご紹介します。利用した場合、課税対象になるのは2,500万円なので、20.315%の税率をかけると、507万8,750円が税額となります。しかし、制度を利用しなかった場合、1,173万3,250円が税額となってしまうのです。その差額は609万4,900円で、とても軽視できる金額ではありません。
もしも売買価格が低く3,000万円を割り込むようなことになれば、税金を払わずに済みます。金銭面に余裕がない人にとって、3,000万円の特別控除は確実に使っていきたい制度の1つと言えるでしょう。
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除の適用条件
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除ですが、当然ながら適用条件があります。ここでは居住用財産と空き家、それぞれのケースをまとめました。
居住用財産を相続した場合の条件
空き家ではなく、居住用財産を相続した場合、現時点で居住している家屋や土地であれば、その時点で3,000万円の特別控除の対象になります。また、転居してから3年後の年末までに譲渡する場合、地震などの災害で家屋がなくなり、土地だけ残った場合、転居してから家屋を取り壊した場合なども対象です。居住用財産=自宅と考えるとよりわかりやすいでしょう。家主が亡くなって、自宅を相続した配偶者がすぐに売却する場合も特別控除の対象になるので、適用条件はかなり広くなります。
注意したいのが、居住の実態が継続している場合に限られることです。例えば、わざわざ適用させるために誰かしらを入居させても対象外となります。あくまでも自宅を相続する場合の話であり、居住の実態が本当にあったかどうかは厳しくチェックされるのでご注意ください。
空き家を相続した場合の条件
一方で、空き家を相続した場合の条件は厳しめです。旧耐震基準があった1981年5月31日以前に建てられた家屋であること、マンション以外の家屋であること、空き家であったこと、相続から譲渡までに貸付などをしていないこと、これらをすべてクリアしないといけません。特に1981年5月31日以前に建てられた家屋という条件はなかなかに厳しい条件と言えます。
居住用財産にも通じることですが、譲渡価格が1億円以下、譲渡する際に現在の耐震基準をクリアしていることも条件となります。譲渡する前に耐震工事を行っておかないと条件をクリアできないというわけです。そのため、更地にした状態で譲渡することで費用負担を大きく抑えることができます。リフォームしてまで売却すべきか、更地にして売却すべきかはしっかり考えて決めましょう。
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除の申告方法
実際に特別控除を利用する場合、どのように申告をすればいいのかをご紹介します。空き家の場合は「譲渡所得の内訳書」、「登記簿謄本」、「被相続人居住用家屋等確認書」、「耐震基準適合証明書もしくは建設住宅性能評価書の写し」、「譲渡価格1億円以下を証明する書類」をすべて揃えて確定申告を行います。更地を売買する場合は耐震基準に関する書類が不要です。被相続人居住用家屋等確認書に関しては、譲渡が行われた空き家がある自治体が発行するため、遠隔地にある場合は要注意です。
確定申告の方法ですが、確定申告書Bや譲渡所得の内訳書などに、サラリーマンであれば源泉徴収票などを見ながら具体的な金額などを書き込んでいき、書類を全部まとめて居住地を管轄する税務署に持っていきます。近年はe-Taxで自宅に居ながら確定申告が行えるようになりましたが、初めて確定申告を行う場合などは税理士に依頼するのがおすすめです。確定申告は間違いが許されず、適当にやってしまってペナルティが発生するのは避けなければなりません。
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除に関するポイント
最後に、3,000万円の特別控除に関していくつかのポイントがあります。特別控除とは別にある特例との併用、複数人で相続した場合の相続についてご紹介します。
その他の特例との併用について
特例のパターンはいくつかあり、相続した空き家を売却し、同じタイミングで現在住んでいる住宅を利用した場合、居住用不動産に用いることができる3,000万円の特別控除と併用できます。注意したいのは併用といっても上限は3,000万円で変わらないこと。例えば、空き家の売却で特別控除の枠がまだ残っている時に自宅を売却することで特別控除の枠を最大限利用することができます。
また空き家が小規模宅地だった場合、330㎡の面積までの土地に関して、相続税の評価額を80%減らすことができます。相続税は相当な費用がかかり、特に家屋や土地は二束三文でどうにかなるものではありません。8割ほど減額できるのは大きく、これに特別控除が使えるのは大きいでしょう。
複数人で相続した場合は一人ずつに適用される
3,000万円の特別控除は基本的に1人3,000万円という形になるため、共同名義の物件だった場合、それぞれの名義人が相続すれば1人1人に適用されることになります。相続人が4人いた場合、共同名義の空き家を売れば1人1人に3,000万円の控除がなされるので、最大1億2,000万円まで控除される計算です。例えば、都内の一等地の家屋や土地を相続しなければならない場合、丸々活用できれば相当な節税につなげられることでしょう。
まと
今回は空き家の譲渡所得に関する3,000万円の特別控除について解説しました。遠隔地に実家がある場合、誰も住む人がいなくなったから仕方なく実家に戻るという選択肢はとりにくく、相続をしたら売却するという選択肢の方が現実的であり、負担を考えればベストに近い選択肢と言えるでしょう。あとは特別控除をうまく活用し、節税を心がけるようにしておくと、気持ちが楽になります。相続などは想像以上に負担がかかり、税金の大きさに気持ちが萎えることも。だからこそ、上手く特別控除を利用していくべきです。