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アスベスト(石綿)とは?危険性やアスベストが原因になる病気、法規制の歴史まで解説!

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アスベスト(石綿)とは?

アスベストとは、繊維状けい酸塩鉱物の総称で、1941年ごろから優秀な建材として注目され、爆発的に普及しました。

軽量でありながら、燃えづらく火事に強い「不燃性・耐熱性」さらに、酸性やアルカリ性の薬品に強く変質しづらい「耐薬品性」や、摩耗や劣化しづらい「耐久性」、電気を通しづらい「絶縁性」などの特徴があります。

建築において非常に便利な特性を持ちながら、建材としては安価に購入できたことから爆発的な人気が出ました。

ですが、健康被害などの危険性が認知され、規制が強くなり、最終的には2006年に原則として使用および製造などの取り扱いが全面的に禁止となりました。

アスベスト(石綿)の危険性

アスベストの危険性は「健康被害の原因になる」ことです。

石綿は非常に軽い繊維で構成されており、気づかないうちに人が吸い込んでしまう可能性がありますが、もし誤って吸い込んでしまうと「アスベスト(石綿)肺」「肺がん」「悪性中皮腫」のような病気になる可能性があります。

その危険性から「労働安全衛生法」や「大気汚染防止法」などの法律により、建材として利用が禁止され、解体工事にも様々な規制がかけられました。

よく似た素材の「ロックウール」「グラスウール」との違い

アスベストと似ている素材として「ロックウール」や「グラスウール」が挙げられますが、決定的な違いは「発がん性が無く健康被害の可能性が少ない」ことです。

ロックウールは日本語で「岩綿」と書かれているので、同じものというイメージがありますが、そもそもロックウールはアスベストの代用として開発された人造鉱物繊維で健康被害の心配がなく、もし誤って吸い込んでも体外へ排出できるとされています。

グラスウールはガラス繊維で構成されたもので、ロックウールと同じく人造鉱物繊維で、こちらも発がん性は認められていません。

アスベスト(石綿)が原因の病気と症状

石綿肺

石綿肺とは、アスベスト(石綿)ばく露の特異性が高い病気です。

粉じんを吸引することによって、吸入した粉じんが肺胞に沈着して肺の繊維化を起こす病気を総称して「じん肺」といい、アスベスト(石綿)の吸引によって発生するじん肺を石綿肺と呼びます。

潜伏期間が長く、アスベスト(石綿)にばく露してから、10年以上経過してから症状が出るといわれています。

息切れ、咳、痰の症状が出たあと、進行すると呼吸機能が低下し日常生活に支障が現れるといいます。

後述する肺がん・悪性中皮腫・びまん性胸膜肥厚・良性石綿胸水などの合併症が起こり、命の危険が伴います。

肺がん(原発性肺がん)

肺がんは、気管や気管支、肺胞という小さな袋の細胞ががん化したものです。

主な原因としては喫煙が挙げられますが、アスベストを吸い込んだ場合もなる可能性があります。

悪性中皮腫

中皮腫とは、中皮細胞から発生する悪性腫瘍をいいます。

アスベストが発症原因の1つと言われており、症状としては肺がんと同じ咳や胸の痛みの他に、呼吸困難、胸部圧迫感など、日常生活に大きな支障が出たり、発熱や体重減少などといった症状を引き起こします。

潜伏期間が非常に長く、10年未満での発症例はないといわれています。

びまん性胸膜肥厚

びまん性胸膜肥厚(きょうまくひこう)とは、肺を覆う胸膜が線維化(固くなる)し肥厚(厚くなる)する病気をいいます。

症状については、呼吸困難、胸の痛みと悪性中皮腫と同様の症状が見受けられ、潜伏期間は、30~40年といわれています。

この潜伏期間には、アスベストのばく露の濃度により差があるといわれており、濃度が高くなればなるほど、潜伏期間が短くなり、症状もより激しいものになると考えられています。

良性石綿胸水

胸水とは、胸腔内に水などの体液がたまることで、良性石綿胸水とは、アスベストを吸入したことが原因で、胸膜に炎症が起こり胸水がたまる病気です。

潜伏期間は短いと15年程度で発症するケースもありますが、平均潜伏期間は40年程度とも言われ、自覚症状がない場合もあり、比較的個人差が激しい病気と言えます。

どのくらいの量を吸ったら発病するの?

ここまで読むと「解体の仕事をしてるから病気になってしまうのでは?」など心配する方も多いのではないでしょうか。

ですが、現在もどれくらいの量を吸えば病気になるという基準は分かっていません。

ですが少なくとも、長期間にわたり大量のアスベストを吸い続けない限りは、病気を発症する確率は低く、特に過剰な心配をする必要はありません。

アスベスト(石綿)の3つのレベルと製造時期

レベル1:吹付け材

レベル1は、発じん性(塵を発しやすい度合)が非常に高く、建物の解体時に繊維が飛び散るのでリスクが非常に高いです。

吹付け材とは、熱に弱い鉄骨造の骨組みが、火災が発生した際に変形して崩れてしまうリスクを減らすために使用されるものです。

1963年~1975年ごろまで主に学校や工場、駐車場などに使われていました。

 レベル2:保温材・耐火被覆材等

レベル2は、レベル1よりも飛散のリスクは少ないものと分類されていますが、アスベストの密度は低く軽いものが多いため、こちらも建物解体時に崩れてしまうと大量に飛散する恐れがあります。

ですが、吹付け材のようにこびりついているわけではないため、保温剤をつけたまま配管ごと取り外すなどの対処可能で、飛散を防ぎやすいです。

主にボイラーの配管などに巻き付け、保温材や断熱材として利用されています。

レベル3:成形板等 

レベル3は飛散のリスクが少ないもので、解体時の事前工事などを特に必要としないレベルです。

該当する建材は成形板と言われるセメント等と共に成形された建材で耐熱性、耐久性などの優れた特性を持っています。

建築物の屋根、外壁、内壁、天井、床などの材料として幅広く使われています。

アスベスト(石綿)の使用形態

 吹付け石綿

耐火性を持たせるために鉄骨などに巻きつけて利用されていました。また、吸音等の役割をもち、音が響く場所にもよく用いられていました。

現在も、建築年数が古い学校や駐車場などで目にすることができます。

石綿含有保温材

レベル2の事例でも紹介しましたが、断熱や機密性を高めるために用いられていたロックウールなどに、アスベストを混ぜて使用され、ボイラーの本体や配管の保温のために、巻きつけられていました。

その他の石綿含有建築材料

上記の形態以外にも、天井や壁、床などの内装に使われる素材。外装や屋根などに使用されてきました。

石こう板やパルプセメント板など、湿気に強いものや不燃性の板を、各素材の特徴に合わせて台所や風呂場、外装や屋根材として使用されています。

アスベスト(石綿)に関する法規制の歴史 

一時期は多用されていたアスベストですが、1975年にアスベスト含有率が5%1995年にはアスベスト含有率が1%を超えるものが建材として利用できなくなりました。

さらに、2006年からは(一部建材は2004年から)アスベスト含有率が0.1%を超えるものが利用できなくなったため、事実上アスベストを含む建材が全面的に禁止となりました。

年号内容
昭和16年
(1941)
アスベストに着目され、利用頻度増加
昭和35年
(1960)
「じん肺法」という、じん肺に関して適正な予防及び健康管理をして、労働者の健康を守るための法律を制定
昭和50年
(1975)
アスベストの危険性が認知され「特定化学物質等障害予防規則(以下、特化則)」の改正により、石綿5%を超える吹付け作業の禁止
平成7年
(1995)
「労働安全衛生法施行令」の改正により、アモサイト、クロシドライトなどのアスベストの製造等を禁止し、特化則による規制強化で、石綿1%を超える吹付け作業の禁止
平成15年
(2003)
「労働安全衛生法施行令」の改正により、クリソタイルなどのアスベストが使用禁止
平成17年
(2005)
「石綿障害予防規則(石綿則)」が制定され、事前にアスベストの有無を事前に調査したり、解体工事におけるルールが規定
平成18年
(2006)
「石綿則」等の改正により、石綿製品の定義を0.1%まで規制をし、一部を除き、これらのアスベスト含有製品の製造等禁止となり、アスベスト全面的に規制
平成25年(2013)建築物に使用されている石綿によって発生する健康障害を未然に防止するため、事前調査における専門家の育成を目的とし、建築物石綿含有建材調査者講習の登録規程の創設
令和3年(2021)改正「大気汚染防止法」の施行工場や事業場などから飛散する大気汚染物質について排出基準規制対象建材の範囲拡大により、アスベストの規制が更に強化

さらに2022年からはアスベスト含有建材の有無に関わらず、アスベストの調査結果を報告することを義務化し、2023年10月からは解体等の工事には、専門家による調査が必須となります。

これからもアスベストについては、さらに規制がかかると予想されます。

年号内容
令和4年
(2022)
解体工事の際、アスベスト含有建材の有無に関わらずアスベスト調査結果を都道府県に報告することが義務化
令和5年
(2023)
2023年10月以降は、解体等工事に係る調査(アスベストの事前調査)は、専門家による事前調査が義務化

まとめ

アスベストは、飛散してしまうと吸引するリスクが高まり、近隣住民に健康被害を及ぼしてしまうため、様々な規制がされ、これからもより一層高まっていく可能性があります。

気づかないうちに法令違反したり、健康に影響が出ないように正しい知識を身に着けて、アスベストの解体を実施しましょう。

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Writer この記事を書いた人

菊池 哲也 株式会社ACTIVEの代表取締役

岡山県生まれ、岡山在住。解体工事は年間300件以上、アスベスト調査除去も行う解体工事のプロフェッショナルです。創業から30年以上培ってきた豊富な知識と経験で、迅速かつ安心安全でクオリティの高い施工を行っています。岡山で解体工事のことならお気軽にご相談ください。

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