家屋や建物の解体を検討していると、「アスベストが使われていないか」と不安を感じるのではないでしょうか。そういった状況にアスベストを見た目で判断できれば、素早く対処できます。そこで今回はアスベストの見た目の特徴や目視での判断方法を解説します。本記事を参考にアスベストの理解を深め、少しでも不安を取り除いてください。
解体のことなら、どんな些細なことでもご相談ください
アクティブは岡山で
圧倒的な実績と経験を誇る地域No.1の解体業者です。
建物解体工事から内装解体工事、アスベスト調査・除去まで安心してお任せください。
そもそもアスベストとは?
アスベストとは、吸音性や断熱性、耐火性に優れた天然鉱物です。安価で軽く扱いやすいため、優れた建材として幅広く用いられていました。しかし、飛散したアスベストの繊維を吸い込むと肺がんや悪性中皮腫などの健康被害が出るため、現在は使用が禁止されています。
アスベストに起因する病気や症状については、こちらの記事で詳しく解説しています。
アスベストを見た目で判断するのは難しい!
結論、アスベストを見た目で判断するのは困難です。アスベストは他の建材に混ぜられ、本来の見た目と異なる形で使用されていることが多いからです。そのため「アスベストのような素材が見当たらない」という建物でも、アスベストが含まれていることが考えられます。
また、ロックウールやグラスウールといったアスベストの見た目に似た素材が存在するため、専門知識のない人が見た目だけで判別するのは難しく、誤った認識をしてしまうケースもあるのです。
アスベストの見た目の特徴
アスベストは、綿や羽のような柔らかさがあり、製品によって青色や灰色・白色・茶色など見た目が変わるのが特徴です。また劣化したアスベストは、梁や天井などから垂れ下がり、表面に毛羽立ちが出ることがあります。
見た目がアスベストと似ている紛らわしい素材
見た目がアスベストと似ている紛らわしい素材「ロックウール」と「グラスウール」の特徴を解説します。
ロックウールの特徴
ロックウールは、鉄の生産時に出てくる「高炉スラグ」や玄武岩などの「天然岩石」を溶かしたあと、遠心力を用いて作られた鉱物繊維です。ロックウールは、吸音性や断熱性、耐火性に優れており、繊維の直径は3~6マイクロメートル程度です。
アスベストとロックウールの見分け方
見た目が似ているアスベストとロックウールを目視で判別するのは困難です。ここでは、酸や顕微鏡などを使った見分け方を紹介します。
見分け方 | アスベスト | ロックウール |
指で触れる | 手のひらに載せて指でこすっても砕けず繊維状のまま | 手のひらに載せて指でこすると粉々になり肉眼では繊維状に見えない |
酸(お酢)をかける | 溶けない | 溶ける |
顕微鏡を使う | 直径の細い繊維が束になっている | 棒状で繊維の直径が太く、束にはなっていない |
こちらの見分け方はあくまでも目安として把握し、最終的な判断は専門業者に依頼しましょう。
グラスウールの特徴
グラスウールは、溶かした高温のガラスを遠心力で吹き飛ばし、こまかく繊維化したものです。繊維の太さは4~9マイクロメートルとロックウールに近いサイズです。断熱性や吸音性、耐火性に優れ、住宅用断熱材として活躍しています。建築現場や家庭などから回収されたリサイクルガラスを材料とするため、環境に優しいメリットもあるのです。
ロックウールとグラスウールは危険性が少ない
ロックウールとグラスウールは、人体への危険性がほとんどなく、製造・使用が禁止されていません。国際がん研究機関(IARC)による発がん性分類評価会議では、ロックウールとグラスウールはグループ3の「ヒトに対する発がん性が分類できない」に、アスベストはグループ1の「ヒトに対して発がん性がある」に位置しています。
アスベストの繊維は直径0.02〜1マイクロメートルと非常に細いため、肺に入り込み病気を引き起こす危険性があります。一方、ロックウールやグラスウールの繊維は、アスベストの数十倍から数百倍太いので、肺の奥まで届くことは基本的にありません。万が一、肺まで入ってもすぐに体外に排出されます。
アスベストを含む建材の種類と使用されている場所の例
アスベストを含む建材の特徴と、よく使用されている場所を解説します。
吹付けアスベスト
吹付けアスベストは、アスベストに水やセメントなどを混ぜ機械を用いて吹付けたものです。見た目は綿状で柔らかく、針で刺すと数cmほど貫通します。以下の箇所で、吸音や断熱を目的に使われています。
- 鉄骨造建造物の柱や梁(はり)
- 空調機械室・ボイラー室の天井や壁
- エレベーター機械室の天井や壁
- 立体駐車場の天井や壁
吹付けロックウール
1987年まで製造されていた吹付けロックウールは、セメントやアスベストなどをロックウールと混ぜ機械で天井などに付着させていました。見た目や使用場所は、吹付けアスベストと酷似しているため、目視での判断は困難です。なお、現在製造されている吹付けロックウールは、アスベストが含まれておりません。
吹付けひる石(バーミキュライト)
アスベストを含む吹付けひる石は、アスベストとひる石(バーミキュライト)を混ぜて機械で吹付けたものです。表面に凸凹があり、触ると弾力が感じられますが、針を刺しても貫通しないのが特徴です。廊下や階段室などの内装仕上げとして、壁や天井に使われていました。アスベストを含有した吹付けひる石は、1989年に製造が終了し、現在使用されているものにはアスベストが含まれていません。
折板裏打ち石綿断熱材
折板裏打ち石綿断熱材とは、折板(薄い鋼板を折り曲げて耐久力を高めた屋根材)にアスベストを張り付けたものです。スポンジやウールのような見た目をしており、表面は硬くありません。倉庫や車庫、渡り廊下などの折板屋根の裏面によく使われています。
ある程度の判別を付ける方法
他の建材に混ぜ込まれたアスベストは見た目での判断が困難です。しかし、吹付けアスベストには、ある程度の判別を付ける方法があります。
綿が垂れ下がっているかどうか確認する
天井や梁から垂れ下がっている綿状の物質は、吹付けアスベストである可能性が高いです。吹付けアスベストは表面に露出しているため、ある程度は目視で判断できます。さらに吹付けアスベストが用いられている建物は1995年以前のものであるため、経年劣化により綿状に垂れ下がっているケースが多く見られるのです。
お酢をかけてみる
吹付け材の一部を手に取り、お酢をかけて判別することも可能です。アスベストであれば、酸に強いため、お酢をかけても溶けずに形がそのまま残ります。お酢をかけて吹付け材が溶ける場合は、ロックウールであると判別できます。
指で触れてみる
アスベストの含有を判断するには、吹付け材の一部を手のひらに載せて指でこする方法があります。砕けずに繊維状のままであればアスベストの可能性が高く、砕けて粉々になる場合はロックウールと判断できます。
ただし、吹付け材を手に取って調べる方法は、アスベストの粉塵を吸い込むリスクがあるため、適切な対策・保護具の着用が必要です。
危険が伴うアスベストの判別は、専門家へ依頼することが最も安全かつ確実な方法です。
建築物の年代でアスベストが使われているかの予想が可能
建築物の年代とアスベストの規制時期を比較して、アスベストが使用されているか予想ができます。
- 1975年:アスベスト含有率5%超の吹付け禁止
- 1995年:アスベスト含有率1%超の吹付け禁止
- 2004年:アスベスト含有率1%超の建材(10品目)禁止
- 2006年:アスベスト含有率0.1%超の製品禁止
以上から、1975年以前の建物には大量のアスベスト、2006年以前の建物にはアスベストを含む建材が用いられている可能性があります。2006年以降の建築物であれば比較的アスベストの心配はありませんが、含まれている可能性がゼロとは言い切れません。
アスベスト工事の種類
ここからは、アスベストの対策工事について解説します。
除去工法
アスベストを完全に取り除く工事です。作業員や周辺に悪影響がないように保護シートで囲ったのち除去を行います。除去工事はアスベストのレベルによって対策が異なります。
アスベストのレベルによる対策と費用の違いは、こちらの記事で詳しく解説しています。
封じ込め工法
アスベストに薬剤を撒き硬化させ、飛散しないようにする工事です。完全に除去するのではなく、飛散防止対策として行われます。
囲い込み工法
アスベストの周りを板材で覆い、損傷や飛散を防ぐ工事です。封じ込め工法と同様に完全に除去せずに飛散防止として取られる対策のひとつです。
まとめ
アスベストは他の建材を混ぜて使われることが多いため、見た目で判別するのは困難です。吹付けアスベストの場合、一部を手に取り指やお酢を使って判断できますが、粉塵を吸い込むリスクがあります。安全のためにも、アスベストが含まれているかの判断は、信頼できる専門業者に依頼しましょう。
株式会社ACTIVEは、一般家屋からビルやマンションなどの建物解体、内装解体、残置物の撤去から整地、アスベスト調査除去まで、すべてをワンストップで行う「解体工事」のプロフェッショナルです。
法令遵守はもちろん、安全管理や環境保全の徹底、的確な調査と除去で多くのお客様から信頼をいただいています。豊富な技術とノウハウでアスベスト調査から除去まですべての工程を対応いたします。
建物の解体やアスベストの調査を検討している方はぜひ一度お問い合わせください。