家屋などの解体工事を検討する際に、見積もりを取った解体業者から「地中埋設物が見つかった場合は、追加の撤去費用が発生する」と言われて、心配になった方は多いのではないでしょうか。埋設物は撤去した方がいいものになりますが、費用の相場がわからないまま進めてしまうと思わぬ出費で慌ててしまう可能性があります。
この記事では、埋設物が出てくる理由や撤去した方がいい理由、撤去にかかる費用相場、注意するべきポイントについて詳しく解説します。納得できる費用で適切に撤去したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
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地中埋設物とは?
地中埋設物は地中に埋まっている廃棄物・障害物を指します。地中にあるかどうかは建物の解体後でないと判断できない場合が多いため、事前の見積もりには含まれず、追加の撤去費用が発生します。
地中埋設物が出てくる理由
なぜ自分の敷地内の地中から埋設物が出てくるのか気になる人もいるでしょう。主な理由は、岩石などの自然に発生したものと不法投棄の2つになります。現在は建設リサイクル法によって不法投棄は禁じられていますが、過去の解体業者が処分費を抑えるために廃棄物を地中に埋めるずさんな対応をしていたケースが考えられます。ほかには前の土地の所有者や先祖が手間と費用をかけずに処分しようとして埋めた場合もあるでしょう。
地中埋設物を撤去した方がいい理由
地中埋設物を撤去した方がいい理由は主に2つあります。きちんと対応できるよう理解しておきましょう。
土地の売却後に埋設物が見つかると問題になる
地中埋設物を撤去せずにそのままにしておくと、新しく家や建物を建てる際、基礎の障害になったり、地盤が軟弱になったりなどのリスクが生じます。そのため土地の売却後に埋設物が見つかった場合は、問題になる可能性があるのです。また処分せず放置したままにすると不法投棄の疑いをかけられる恐れも出てくるので、撤去を検討した方がいいでしょう。
契約不適合責任に問われる可能性がある
「契約不適合責任」とは、契約で決めた目的物の種類や品質、数量などが引き渡した内容と合っていない場合に売主が買主に対して負う責任のことです。土地の売却では、地中埋設物の存在を買主に説明せず、契約書に記載していない場合は、契約不適合と判断される可能性があり、責任を問われた売主は撤去する義務を負います。契約不適合責任が争われた判例は数多く存在するため、注意が必要です。
地中埋設物の種類
地中埋設物はいろいろな種類がありますが、主に8つの種類に分けられます。それぞれ1つずつ見ていきましょう。
コンクリートガラや瓦
よく見つかるものとして、建物解体時に排出されるコンクリートのがれきであるガラ、瓦などの廃材があります。以前の解体工事で発生した廃材をきちんと処分せずに埋めた可能性が考えられます。昔は建設リサイクル法がなく、規制されていなかったことから、違法に埋めていたケースです。
鉄筋
鉄筋ビル・マンションなどが建っていた敷地では、建物に使用されていた鉄筋が出てくる場合があります。過去の解体工事で鉄筋の撤去費用を惜しんだ業者が埋めた可能性があるでしょう。
大きな岩石
地中から大きな岩石が出てくる場合もありますが、こちらは人為的ではなく自然に発生したもので、よくある事例です。昔に比べて現在の住宅は基礎を深く掘る場合が多いため、建築の障害になる恐れがあります。
井戸や浄化槽
もう使わなくなって埋められた井戸や浄化槽があとから発見されるケースがあります。浄化槽は生活排水をきれいにする設備で、公共下水道が整備されていない地域で使われています。
湧き水
地下に水脈がある土地では、湧水が出てくる場合があります。地上が水浸しにならないよう、必要に応じて排水経路を確保するなど適切な措置が求められます。
建物の基礎や杭
以前の建物で使っていた基礎や杭を解体工事で撤去せずに埋めたケースが考えられます。建物の支えになるよう地中深く打ち込んでいる杭や、頑丈なコンクリートでできている基礎の撤去は大変な作業になります。
医療廃棄物
極めてまれですが、注射器や注射針、カテーテルなどの医療関係機関から排出される医療廃棄物が地中から発見される場合があります。血液や体液のついた医療器具は感染症廃棄物扱いになり、適切な許可をもった専門業者でなければ回収できません。解体業者を通じて専門業者に依頼してもらうか、役所に相談するなどの対応が必要です。
その他タイヤや衣服など
見つかるケースは少ないですが、タイヤや衣類などが出てくることがあります。以前の住人や近隣住民が敷地内に放置したものを埋めた可能性が考えられます。
地中埋設物の調査方法
地中埋設物の有無は建物解体後でないとわからないことが多いですが、工事前に確認しておきたい場合は事前調査を行う方法があります。必要に応じて実施を検討できるよう、それぞれの調査方法を把握しておきましょう。
地歴調査
地歴調査は、登記簿や古い地図、地理図、航空写真、過去の建物の図面などの資料をもとに調査する方法で、最も手軽に実施できます。現在は住宅地で使われている土地であっても、過去に工場やガソリンスタンドなどが建っていた場合、埋設物が見つかったり、土壌が汚染されていたりする可能性があります。
ボーリング調査
ボーリング調査は、ボーリングマシンを使って地面に円筒形状の孔を開けて、地中の状況を確認する方法です。調査方法の中で最も精度が高く、埋設物がある可能性が高い場合に行われます。埋設物確認と同時に土壌汚染などの土質調査も実施可能です。
地中レーダー探査(非破壊検査)
地中レーダー探査は、レーダーを使って地面を破壊せずに埋設物の有無を確認できる方法です。地歴調査で埋設物がある可能性が高いと判断されたあとに行われます。
地中埋設物の調査費用相場
費用相場は調査方法によって異なりますが、目安として、地歴調査は簡易調査で5~10万円程度になります。ボーリング調査は地盤の硬さや調べる深さ・範囲などによりますが、戸建住宅によく用いられる簡易版のボーリング調査の場合は10万円程度になるのが一般的です。地中レーダー探査は、探査する範囲によって変わりますが、一般的な戸建住宅で10〜15万円程度かかります。どの調査もそれなりの費用がかかるため、慎重に判断した上で実施するといいでしょう。
地中埋設物の撤去方法
埋設物の種類により撤去方法は異なりますが、見つかるケースが多いコンクリートガラ・瓦などの建築廃材は、重機を使って掘り起こして撤去したあと、トラックで産業廃棄物処理場へ運搬して処分します。
井戸はすべて撤去するのは困難なため、井戸枠を取り除き、地上の井戸部分を撤去してから、砂利や土で埋め戻しします。また井戸は神仏的な意味合いをもつため、地域の風習や習わしとして埋め戻しの前にお祓いや息抜きを行う場合があります。
浄化槽は、掘り起こして全撤去する方法が最も推奨されています。費用的に全撤去が難しい場合は、浄化槽本体の3分の1を解体後、装置や部材などの残りは地中に埋めてしまう一時的な措置がありますが、土地を売却する際は全撤去が必要になるので注意しましょう。
地中埋設物の撤去費用相場
地中埋設物の撤去にかかる費用相場は以下のとおりです。種類や量、撤去方法などによって費用は異なりますので、参考目安としてご覧ください。また解体業者ごとで費用の基準が違うため、埋設物が見つかった場合はいくら位かかるのかなどをあらかじめ確認しておくと安心でしょう。
種類 | 撤去費用相場 |
コンクリートガラ | 12,000円〜/m³ |
瓦・レンガ | 22,000円〜/m³ |
木くず | 5,000円〜/m³ |
石膏ボード | 12,000円〜/m³ |
カーペット | 16,000円〜/m³ |
タイル | 25,000円〜/m³ |
井戸解体埋め戻し | 30,000~50,000円/式 |
浄化槽撤去 | 30,000〜70,000円/基 |
浄化槽の撤去については、自治体によって補助金が出るケースがあるので確認してみるのもおすすめです。
地中埋設物の撤去に関して注意するべきポイント
地中埋設物の撤去に関して注意するべきポイントについて解説します。トラブルなく撤去できるようあらかじめ頭に入れておきましょう。
信頼できる業者に依頼する
解体工事中に地中埋設物が出てきた場合、業者は施主へ報告して撤去する流れが一般的です。しかし中には、連絡しないまま撤去して高い費用を請求したり、廃棄物をわざと地中に埋めてあとで見つかったと嘘の連絡をしたりして不当な費用を請求する悪徳業者がいます。悪徳業者は見積もりの詳細をきちんと説明せず、安い金額の見積もりを出して、あとから追加費用を請求してくるケースがあるので注意が必要です。埋設物が見つかったときは追加費用が発生する旨をきちんと説明してくれる信頼できる業者を選ぶのがポイントです。さらに施主からもあらかじめ「地中埋設物が見つかったときは連絡してください」と伝えておくと、トラブル回避に繋がります。
契約書に地中埋設物があった際の内容を盛り込む
口頭でのやり取りは曖昧になるので、トラブルに発展する可能性があります。埋設物が出てきた場合はどう対応するのかをきちんと書面で残しておくことが大切です。例えば、「工事を中止して施主に報告したあと、対応を協議する」などと契約書に記載できれば、知らない間に追加の撤去費用が発生するリスクを減らせるでしょう。
まとめ
地中埋設物は地中に埋まっている廃棄物・障害物のことで、コンクリートガラ・瓦などの建築廃材や井戸、浄化槽、大きな岩石など、さまざまな種類があります。埋設物の有無については、建物の解体後でないと判断できない場合が多く、事前の見積もりには含まれないため、追加の撤去費用が発生します。費用は埋設物の種類や解体業者ごとで異なるので、あらかじめ業者にどの位かかるのか確認しておくことが大切です。不当な追加請求を回避するためには信頼できる解体業者を選んで、埋設物があった場合の対応方法を契約書に記載するのがポイントです。家屋などの解体工事では地中埋設物が見つかる可能性があると頭に入れておき、適切に撤去できるようにしましょう。