家屋や建物の解体工事が原因で隣家を傷つけてしまうと、直すための補修工事が必要になります。中でも隣家と外壁がくっついていたり、共有していたりする場合の補修はどうなるのか不安に感じている方は多いでしょう。
今回は隣家補修にスポットを当てて、隣家補修とは何か、隣家との工事トラブルを防ぐためのポイント、補修を求められたときの対応を詳しく解説します。トラブルなく、安心して解体工事を実施したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
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解体工事の隣家補修とは?
建物の解体工事の影響で、隣家の外壁や屋根が傷つく、または自分の家を撤去したら接している隣家の外壁が壊れるなどの場合に行う補修工事を隣家補修と言います。状況をしっかりと確認しておかなければ、予想外の出費で慌てたり、隣家とのトラブルに発展したりするので注意が必要です。
解体工事でよくあるトラブル
解体工事でよくあるトラブルの主な事例は、以下のとおりです。万が一に備えてチェックしておきましょう。
- 隣家の外壁や内壁にヒビや損傷が生じた
- 天井が垂れ下がった
- 地盤が緩み、建物が傾いた
- 土砂崩れが発生した
- 庭木を伐採してしまった
- 駐車場や庭のコンクリートにヒビが入った など
損害賠償責任と保険の種類
解体工事が原因で隣家が傷ついた場合、損害賠償を請求される可能性があります。責任の所在は主に2つのケースに分けられるので、それぞれ具体的に解説します。解体業者が加入する保険の種類についてもお伝えしますので、把握しておきましょう。
解体業者に責任があるケース
業者側の不注意・不手際でトラブルが発生したときになります。民法709条によると「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(参考:e-Gov法令検索)」とされています。対応方法は状況によって異なりますが、補修工事で元に戻すケースや工事を行った上で賠償金を支払うケースがあります。
施主に責任があるケース
故意に事故やトラブルが起きるような指示を出した場合や、起きる可能性があると知りながらそれを隠していて事故に繋がったときになります。民法716条によると「注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、この限りでない(参考:e-Gov法令検索)」とされています。そのため、自分には関係ない、言わなくても大丈夫だろうとは思わず、業者にきちんと情報を伝えることが大切です。
損害賠償保険の種類について
解体業者は工事で発生する事故やトラブルに備えて、損害賠償保険に加入しているのが一般的です。しかし中には費用を抑えるために未加入の業者がいるため、注意が必要です。未加入の業者が事故を起こした場合、高額な賠償金を支払えなかったり、賠償責任から逃れようとしたりする可能性があります。業者選びの際は保険に加入しているかどうか、どんな種類の保険に加入しているかを確認した方が良いでしょう。可能であれば、保険証券のコピーを提出してもらえると安心です。保険はさまざまな種類がありますが、中でも代表的なものを3つ紹介します。
会社単位の保険
会社単位で加入して、年間単位で契約する保険です。保険額は業者の年間の売上金額により決められ、その年に請け負ったすべての工事が対象となります。
工事単位の保険
工事の現場単位で加入する保険で、工事の請負金額によって保険料が決まります。リスクの高い現場のときに加入する傾向があります。
工事車両単位の保険
工事で使用する重機・トラックなどの車両単位で加入して、年間で契約する保険です。会社単位と工事単位の保険とあわせて加入したり、とくにリスクが高い車両を加入させたりするケースが多いです。
解体工事の際に隣家の屋根や壁を傷つけた場合の隣家補修
解体工事の際に業者の不注意・不手際で、隣家の屋根や壁を傷つけるなどの問題が起きた場合は、業者の責任で隣家補修を実施する必要があります。一方、施主が無理に施工内容を変更させたり、被害の情報を伝えなかったりなどの施主側の過失で問題が起きたときは、施主が責任を負う可能性があります。これらを踏まえ、隣家に外壁がないケースではどうなるのか次の項目で詳しく見ていきましょう。
隣家に外壁がない場合の隣家補修
隣家と外壁が接している、または共有していて隣家に外壁がないケースが存在します。その際、自分の家を撤去すると隣家の外壁が壊れてしまうため、補修が必要になります。費用は誰が負担するのかと言うと、建物の数・外壁の位置・所有者によって変わります。主に3つのケースがあり、誰が費用を負担するのかも含めて、それぞれ解説します。
ケース1:建物が2棟あり外壁が敷地内にある
自分が外壁の所有者だと証明できれば、補修費用の支払い義務はなくなる可能性があります。ただし費用の負担はなくとも、工事が原因で敷地の所有権についてクレームを入れられる恐れがあるため、あらかじめ隣人に対して外壁と敷地の所有権をきちんと確認しておくことが重要です。
ケース2:建物が2棟あり外壁が境界上にある
法律的に外壁は共有物だとみなされるケースが多いため、勝手に外壁を壊してしまうとクレームが起きる可能性が高いでしょう。工事前には必ず隣人と話し合いを行い、許可を得ておく必要があります。
ケース3:建物が1棟しかない
長屋などが当てはまる可能性があり、その場合はマンションなどの管理運営について定めた法律である区分所有法が適用されるため、共有部分の変更については隣人の許可が必要です。許可なく工事を進めてしまうと、損害賠償を請求されるリスクがあるので注意しましょう。
隣家との工事トラブルを防ぐためのポイント
トラブルを防ぐためのポイントを5つ紹介します。施主として実践できるようにチェックしておきましょう。
必ず工事前の近隣挨拶を行う
工事前に必ず近隣の方に挨拶回りをしておくことが重要です。工事では騒音や振動、粉じんの飛散などでどうしても迷惑をかけてしまいます。挨拶することで、工事に協力してもらいやすくなり、トラブルやクレームに発展するのを抑えられるでしょう。挨拶回りは業者が主導で行ってくれるはずですが、中には施主が挨拶に来ないと不信感を抱く人がいるため、できる限り施主も同行しておくと良いでしょう。
隣家の状況も含めて事前に現場の撮影を行う
隣家に損傷やヒビなどが見つかったときには、工事によるものなのか、元々あったものなのか見分けるのは難しく、隣人の中には工事でできた損傷だと主張する場合があります。そのため、自分の家だけでなく隣家の状況もあわせて、事前に現場の撮影をしておけば、証拠を提示できるのでトラブル回避に繋がります。解体業者が撮影をしてくれない場合は、可能な範囲で自分で行っておくことが大切です。
工事協定書を作成する
工事協定書とは、発注者・施工者・工事に関わる住人との間の決め事を記録として残すためのもので、実施期間・作業時間・施工内容・車両侵入方法などが記載されています。解体業者側に作成の義務はありませんが、施工内容だけでなく、トラブルが起こった際の補償内容などもきちんと記載しているので、隣人に安心感をもってもらうため事前に提示できると良いでしょう。
現地調査をしっかり行ってもらう
工事の前に、業者に現地調査をしっかりと行ってもらいましょう。解体する建物はもちろん、可能な範囲で隣家も含めて、状況を確認しておくことが大切です。隣家の外壁や内壁、天井などの工事の影響が及びそうな箇所を重点的に調べて記録できていれば、万が一傷つけてしまってもすぐに補修工事に移れるので、被害を最小限に抑えられるでしょう。
解体業者のマナーに気をつける
解体業者のマナーもトラブルを防ぐための重要なポイントです。作業員の態度が悪い、挨拶をしない、タバコのポイ捨てをするといった行動があると近隣の方は不満を抱き、ちょっとしたことでもトラブルに発展しやすくなります。きちんとしたマナーを身につけている業者を選ぶことが重要です。
隣家補修を求められた場合の対応
もし隣家補修を求められた場合はどのように対応すればいいのでしょうか。それぞれ紹介しますので、いざというときに備えてあらかじめ把握しておきましょう。
早めに謝罪を行う
対応が遅くなればなるほど、近隣の方の不満や怒りは大きくなり、当初のクレーム以外の部分まで指摘される恐れがあります。事態を悪化させないためには、早めに謝罪を行うことが大切です。謝罪の際は誠意ある対応を心がけましょう。
相手の方と解体業者の話をしっかりと聞く
隣人の方と解体業者の双方から話をしっかり聞くことが重要です。隣人からのクレームの中には理不尽な言い分もありますが、まずは冷静に話を聞く姿勢を見せ、相手の怒りを鎮められるようにしましょう。また隣人だけでなく、解体業者の主張も聞くと早期解決に繋がります。
責任の所在を明らかにする
それぞれの主張を聞いた上で、責任の所在を明らかにします。隣人の中には、言いがかりや思い込みで被害を訴えているケースがあるため、業者に現場を確認してもらうことが重要です。また実際に工事している作業員であれば、隣家に傷をつけたかどうか判断できるケースもあります。もし当事者間だけで交渉が難しいようなら弁護士などの第三者に相談しましょう。
隣家補修を行うかどうかの判断をする
責任の所在を明らかにした上で、隣家補修を行うかどうか判断することが大切です。もし解体業者に過失がある場合は、速やかに補修工事をしてもらうことで問題が解決する可能性があります。
まとめ
隣家補修とは、解体工事の影響で隣家を傷つけたり、隣家に外壁がなかったりする場合に行う補修工事を言います。隣家とのトラブルを防ぐためには、事前の近隣挨拶を行う、証拠を提示できるよう現場を撮影しておく、工事協定書を作成するなどが有効です。万が一、隣家補修を求められた場合は、早めに謝罪を行ったり、隣人や業者の話をしっかり聞いたりなどの対応が必要になります。あらかじめトラブルを防ぐポイントを理解した上で、信頼できる業者を選んで安全に工事を実施してもらいましょう。