アスベストは人体に悪影響を及ぼす危険な物質のため、アスベストの除去工事を行う際は、安全基準を守った服装の着用が義務付けられています。そこで気になるのが、「安全な服装とはどのような服装になるのだろう?」「アスベストのレベルとは?」という点です。
この記事では、アスベスト工事をする際の服装や防護服・防護用品の特徴、アスベストのレベルについて詳しく解説します。安全が確保できる適切な服装が知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
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アスベストのレベルと作業時の服装
アスベスト(石綿)は目に見えないほど細かい繊維のため飛散しやすく、人が吸い込んでしまうと、肺がんや中皮腫などの重大な病気を引き起こす恐れがあります。そのためアスベストの除去作業を行う際は、作業員の安全が確保できるよう安全基準を守った服装の着用が義務付けられています。アスベストは飛散の危険度によって「レベル1」「レベル2」「レベル3」の3つの作業レベルに分けられ、「レベル1」が最も危険な作業になります。レベルによって作業時の服装は異なり、防護服と呼ばれるタイプは防護力の高いものになります。それぞれのレベルとレベルに合った服装を解説しますので、どのような違いがあるのか理解を深めておきましょう。
アスベストレベル1
「レベル1」は、綿状のアスベストを除去する作業になります。該当する建材は、主に「アスベストを含む吹き付け材」が挙げられます。飛散しやすいため、粉じんの発生のしやすさを示す「発じん性」が最も高くなっています。作業する際は、飛散させたり吸い込んだりしないように対策された防護服と防護用品の着用が必要です。防護服と防護用品の種類については、あとの項目で詳しく解説します。
アスベストレベル2
「レベル2」は、レベル1の次に発じん性が高い建材を除去する作業です。主な建材として、「アスベストを含む保湿剤・耐火被覆材・断熱材」が該当します。レベル1よりも飛散する危険は少ないですが、軽くて密度が低い建材になるので崩れてしまうと飛散しやすくなるため、レベル1と同じ基準の防護服と防護用品が必要になります。
アスベストレベル3
「レベル3」は、発じん性が比較的低い建材を扱う作業になり、主に「アスベストを含む成形板」などが該当します。割れにくく飛散する可能性が低いため、防護服以外に専用の作業衣の着用も認められています。ただし「石綿含有けい酸カルシウム板第1種」に該当するものの除去で、切断などが伴う作業については発じん性が高くなることから、フード付きの防護服が義務付けられているケースがあるので注意が必要です。(参考:環境省「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル(令和3年3月)」)
アスベスト工事に必要な防護服の特徴
ここからは、工事を行う際に必要になる防護服の主な特徴を3つ紹介します。
アスベスト工事に必要なのは「密閉服」の「タイプ5」
アスベストを除去する際の防護服については、以下のとおり定められています。
負圧隔離内部など石綿繊維の発生量が多い作業場所では、JIS T 8115の浮遊固体粉じん防護用密閉服(タイプ5)同等品以上のものを使用する。(引用:環境省「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル(令和3年3月)」) |
「JIS T 8115」とは、化学防護服に関するJIS規格のことです。化学防護服は「気密服」「密閉服」「部分化学防護服」の3つに分けられ、アスベスト除去作業で必要になるのは「密閉服」です。アスベストは非常に細かい繊維のため、防護服には高い密閉性が求められます。密閉服には複数種類があり、アスベストに対応しているのは、防護服の種類で「浮遊固体粉じん防護用密閉服」の「タイプ5」と呼ばれるものになります。
服の上下が一体化されている
アスベストに対応している防護服は、粉じんが防護服の中に侵入してこないように、服の上下が一体化されているつなぎタイプになっている特徴があります。素材は粉じんが付着しにくく払い落としやすい、滑らかなものが良いとされています。防護服とあわせて、防じんマスクや防護手袋、シューズカバーなどを着用する際は、それぞれの結合部をテーピングで密閉する必要があります。
使い捨てのものが推奨されている
アスベストの防護服に関しては、使い捨てのものが推奨されています。防護服に付着したアスベストをすべて取り除くことは難しく、万が一外部へ持ち出してしまった場合は二次感染のリスクがあります。防護服は隔離されている作業場から外に出るたびに廃棄する必要があり、廃棄は通常の廃棄物よりも規制が厳しい特別管理作業廃棄物として処理しなければなりません。
アスベスト工事に必要な防護服・防護用品の種類
ここまで防護服について詳しく解説しましたが、アスベストの除去工事を行う際は作業レベルに応じた防護用品も必要になります。防護服・防護用品の主な種類を6つ紹介しますので、チェックしておきましょう。
防護服
作業レベルや除去する対象によって、防護服(保護衣)または専用の作業衣の着用が義務付けられています。「アスベスト工事に必要な防護服の特徴」の項目でお伝えしましたが、防護服は密閉性がある構造で、粉じんが付着しにくい素材が適しており、使い捨てできるタイプが推奨されています。またポケット付き防護服の場合は、アスベストが溜まらないようポケットの数は最小限にすることが求められています。
呼吸用保護具(防じんマスク)
アスベストを含む粉じんを吸い込まないためには、呼吸用保護具(防じんマスク)が欠かせません。マスクをつけたままでも会話がしやすい伝声器付きのものもあります。作業レベルや除去方法に応じて、電動ファン付きや取替え式、使い捨て式マスクの着用が義務付けられています。
防護メガネ
防護メガネは、粉じんや液体飛沫などから眼を守るためのものです。顔に密着するゴーグルタイプの場合、メガネタイプよりも顔に密着するので隙間から粉じんが入らないメリットがあります。中には曇り止め加工がされているものもあります。
フード
フードを被ることで、頭と顔まわりを保護します。フード付き防護服であれば、全身と頭、顔まわりまで保護できます。頭と顔をすっぽり覆うフェイスシールド型のフードの場合は、サイズ調整可能なヘッドサスペンションが組み込まれている一体型のタイプもあります。
手袋
アスベスト除去作業に対応した化学防護手袋(グローブ)です。作業員の手や手首上部を保護します。指先の感覚を活かせるように手にぴったりフィットしていたり、すべり止めが付いていたりするなど作業しやすい工夫が施されています。
シューズカバー
使い捨てのシューズカバーで、靴の上から装着して使用します。靴の隙間から粉じんが侵入するのを防ぎます。
まとめ
アスベストは細かい繊維で飛散しやすく、人体に悪影響を及ぼす危険があるため、除去工事は安全基準を守った服装で行うよう義務付けられています。必要となる防護服の種類は、密閉性が高い「タイプ5」になります。服の上下が一体化したつなぎタイプになっている特徴があり、二次感染を防ぐ目的で使い捨てのものが推奨されています。除去作業はアスベストが飛散する危険度によって3つに分けられており、レベル3の場合は飛散するリスクが低いため、作業内容によっては防護服以外に専用の作業衣の着用も認められているケースがあります。工事をプロの業者に依頼する場合は、適切な服装はもちろん、飛散させないようにきちんとした対策をとって作業してくれる業者を選ぶようにしましょう。