アスベストの除去工事はレベルによって、提出書類や対策が異なります。また、レベルが1に近づくにつれて、作業の危険度とともに作業費用も高くなる傾向があります。アスベストのレベルは除去工事方法と対策を判断する大切な指標です。そこで今回は、アスベストのレベルによる危険性と除去費用の違いを解説します。
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アスベストはなぜ問題視されている?
まずはアスベストの特徴と問題視されている理由を解説します。
アスベストの特徴とレベルとは?
アスベスト(石綿)は、耐火性・耐熱性・防音性などに優れた天然鉱物です。綿素材のように柔らかく、安価で加工しやすい特徴があるため、多くの建築物で使用されてきました。
また、アスベストは飛散する危険性(以下、発じん性)によって3つのレベルに分類されます。レベルが1に近づくにつれて、危険度が上昇し、除去作業により多くの対策と費用がかかる傾向があります。
アスベストが問題視されている理由
アスベストは、長期間吸入し続けることで肺がんや石綿肺、中皮腫などの病気の原因となります。
アスベスト自体に毒性はありませんが、形状と性質に有害性があります。アスベストの繊維は針のように細く鋭い形状をしているため、一度吸入すると肺胞に刺さり、排出されることが基本的にありません。体内に滞留したアスベストに対して、身体の免疫システムが異常な反応を起こすことで健康被害を起こすとされています。
健康被害を防止するため、アスベスト含有率0.1%を超える製品は、2006年に全面使用禁止されました。
アスベストに起因する病気や症状については、こちらの記事で詳しく解説しています。
2021年4月1日からレベル3も規制の対象に!
従来は吹付け石綿(レベル1)と石綿含有断熱材等(レベル2)などが規制対象でしたが、2021年4月1日に改正・施行された大気汚染防止法により、石綿含有成形板等(レベル3)が規制対象に加えられました。
レベル3が規制対象に加えられたことにより、作業計画を作成し、計画に基づいた作業・対策が必要となりました。
アスベストレベル1(発じん性が著しく高い)
発じん性が著しく高く、危険性が最も高いアスベスト作業は、レベル1に分類されます。
使われている建材の種類
レベル1に分類される建材は「石綿含有吹付け材」です。石綿含有吹付け材は、アスベストにセメントやバーミキュライト、ロックウールなどを混ぜ、吹付け機で施工したものです。表面は綿状で柔らかく、深さが数cm程度あるのが特徴です。
使われている可能性のある場所
レベル1のアスベストは、主に以下の場所で使用されています。
- 3階建て以上の鉄骨造建築物の柱や梁(はり)
- 立体駐車場の天井や壁
- ビルのボイラー・機械室の天井や壁
アスベストの除去に必要な対策
レベル1の除去作業では、以下の届出が必要です。
- 工事計画届
- 特定粉じん排出等作業届出書
- 建築物解体等作業届
レベル1の除去作業時は、エアラインまたは粒子補修効率99.9%以上の全面形呼吸用保護具を着用し、全身を覆う保護衣が必要です。
作業工法の種類
レベル1のアスベストを除去する際には、主に隔離工法が用いられます。隔離工法では作業場所を養生シートなどで隔離し、集じん装置で作業場所を負圧に保ったうえで作業します。除去作業終了後、集じん装置を24時間稼働させ、作業場内の残留アスベストを取り除く処置が必要です。
アスベストレベル2(発じん性が高い)
発じん性が高く、危険性の高いアスベスト作業は、レベル2に分類されます。
使われている建材の種類
レベル2に分類される建材には、石綿を含んだ耐火被覆材や断熱材、保温材が挙げられます。主に柱や梁の耐火被覆材、配管や煙突の断熱材として使用されています。
使われている可能性のある場所
レベル2のアスベストは、主に以下の場所で使用されています。
- 建築物の柱や梁(はり)
- ビルのボイラー・機械室の配管やダクト
アスベストの除去に必要な対策
レベル2の除去作業では、レベル1と同様の届出が必要です。
- 工事計画届
- 特定粉じん排出等作業届出書
- 建築物解体等作業届
作業時はエアラインまたは粒子補修効率99.9%以上の全面形または半面形呼吸用保護具を着用し、全身を覆う保護衣が必要です。
作業工法の種類
レベル2のアスベストを掻き落とし・切断・破砕によって除去する際は、レベル1の隔離工法と同様の養生・設備が必要となります。
また、掻き落としや破砕が伴わない配管保温材などを除去する場合は、立入禁止措置・掲示と周辺の飛散養生と散水のみで作業可能です。
アスベストレベル3(発じん性が比較的低い)
発じん性・危険性が比較的低いアスベスト作業は、レベル3に分類されます。
使われている建材の種類
レベル3に分類される建材は、レベル1とレベル2に該当しないアスベスト建材です。スレートや石膏ボードなどの板形状と、石綿セメント管のような管形状があります。成形されているため、破砕・切断をしない限り飛散する危険性は少ない点が特徴です。
使われている可能性のある場所
作業レベル3のアスベストは、主に以下の場所で使用されています。
- 建築物の天井や壁
- ビルのビニール床タイル
- 化学工場の配管やダクト
アスベストの除去に必要な対策
レベル3の除去作業では、届出が必要なく、作業計画に基づいて作業を行います。
作業時はエアラインまたは粒子補修効率95.0%以上の全面形または半面形呼吸用保護具を着用し、全身を覆う保護衣が必要です。
作業工法の種類
レベル3のアスベストを除去する際は、建築物の高さ以上の防じんシート養生が必要です。設置完了後、散水によってアスベストを湿潤させ、原型のまま手ばらしで除去します。なお、投下や重機作業は破砕の危険性があるため原則、禁止されています。
アスベストのレベルごとの除去費用の違い
アスベストの処置面積が300平方メートル未満の除去費用は2.0〜8.5万円といわれています。ただし、アスベストのレベルによって、施工方法や設備が異なるため、除去費用に大幅な差が生じます。各レベルの一般的な費用相場は以下の通りです。
処理面積 | 除去費用(1平方メートルあたり) |
レベル1 | 1.5〜8.5万円 |
レベル2 | 1.0〜6.0万円 |
レベル3 | 0.3〜1.0万円 |
アスベスト除去工事費用は現場の状況や施工方法によっても異なります。正確な費用を知りたい人は専門業者へ見積りを依頼しましょう。
アスベスト除去工事の費用を安くするポイント
アスベスト除去工事の費用を安く抑えるポイントは以下のとおりです。
複数の業者に見積もりを取る
アスベストの除去工事は、1社だけでなく複数業者に見積りを依頼しましょう。複数業者に見積りを依頼すると、費用を安く抑えられるだけでなく、施工依頼をしても問題ない業者かを判断することができます。
アスベスト除去工事では、入念な作業計画や届出といった多くの労力が必要です。見積りが安すぎる業者には、法令で決められている保護具や養生を実施せずに除去作業を行う場合があります。
費用をより安く抑え、安全に除去作業を行うためにも、複数業者の見積りを取りましょう。
補助金を利用する
アスベスト除去工事の費用を抑えるために補助金制度を活用しましょう。補助金制度は、要件を満たした調査・除去工事に適用され、補助金額や要件はアスベスト工事を行う自治体によって異なります。補助金の有無によって、除去費用の負担が大きく変わるので、事前に必ず確認しておきましょう。
岡山市では「吹付けアスベストが露出し、多くの人が利用する民間建築物」を対象としています。補助金額は、調査は1箇所あたり6万円(上限25万円)、除去工事は工事費の3分の2(1棟あたり上限1,000万円)を乗じた金額です。アスベスト含有率や工法などの適用要件は自治体によって異なるため、補助金を申請する前に自治体に問い合わせましょう。
まとめ
アスベストの除去費用や工法はレベルによって大きく異なります。危険度の高い除去作業を行う際は、適切な届出や作業計画、工事管理が必要です。アスベストによる健康被害や近隣トラブルを起こさないためにも、レベルの違いへの理解が大切です。
ご自宅の解体やリフォームなどで不安がある人は、信頼できる専門業者に工事依頼を行いましょう。