建物にアスベスト含有スレート屋根が使われている恐れがあり、撤去を検討している人は多いのではないでしょうか。なかには、撤去費用や工事費を抑える方法を知りたい人もいるでしょう。
そこで今回は、アスベストが使われているスレート屋根の撤去費用が高くなる理由や工事費を抑える方法を解説します。アスベスト含有スレート屋根を撤去する以外の対処法も紹介しているので、スレート屋根にアスベストが含まれていることに不安を感じている人も、ぜひ参考にしてみてください。
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アスベストが使われているスレート屋根の撤去費用相場
アスベストが使われているスレート屋根の撤去費用は、30坪の住宅で屋根の面積が60㎡前後の場合、30万～50万円ほどかかります。アスベスト含有スレート屋根の撤去工事の内訳は以下の通りです。
| アスベスト含有スレート屋根の撤去費用 | 3,000～5,000円／㎡ |
| 足場の設置費用 | 1,000～1,500円／㎡ |
| アスベストの産廃処理費用 | 40,000～70,000円／㎥ |
| 工事管理費などの諸経費 | 工事費用の約10％前後 |
屋根1㎡あたりの廃棄量は、屋根材の厚みや状態によって前後しますが、およそ●㎥といわれています。自宅の解体工事を検討する際は、屋根の面積から概算の撤去費用を計算してみましょう。
アスベストが使われているスレート屋根の撤去費用が高くなる理由
アスベストが使われているスレート屋根は、一般的なスレート屋根の撤去費用よりも高くなる傾向があります。ここでは、アスベスト含有スレート屋根の撤去費用が高くなる理由を解説します。
アスベストの飛散防止対策や専用保護具が必要となるため
アスベスト含有スレート屋根を撤去する際は、使い捨ての専用保護具が必要となるため、その購入費によって工事費用が高くなる傾向があります。
また、アスベストが飛散しないように養生をしたり散水しながら手作業で解体したりする必要があるので、一般的なスレート屋根の撤去よりも手間と時間がかかるのも、工事費用が高くなる理由の一つです。
アスベストの処分費用が高額になりやすいため
アスベストを含まないスレート板の処分費用は、1㎥あたり30,000円前後かかるとされています。一方、アスベストが含む場合、1㎥あたり40,000～70,000円ほどかかり、アスベストを含まないスレート板の処分費用よりも高くなる傾向があります。
なお、アスベスト含有スレート屋根の処分費用が高額になりやすいのは、石綿含有産業廃棄物を処分できる処理施設が限られているためです。
アスベスト含有スレート屋根の撤去費用を抑える方法
アスベスト含有スレート屋根の撤去費用を抑えるには、補助金を活用したり、複数の業者に見積もり依頼をしたりすることが有効です。ここからは、アスベスト含有スレート屋根の撤去費用を抑える方法を解説します。
補助金を活用する
アスベストの除去工事に補助金を出してくれる自治体もあります。補助金額や要件は自治体によって異なるので、あらかじめ自治体のホームページや窓口で確認しておくことが大切です。補助金の有無によって除去費用の負担が大きく変わるので、活用できるかを必ず確認しておきましょう。
複数の業者に見積もり依頼をする
複数の業者に見積もり依頼をして、工事費用を比較することで、低価格で工事をしてくれる業者を見つけやすくなります。撤去費用の相場や適正価格も把握できるので、見積金額が高すぎないか安すぎないかを見分ける手段にもなります。
見積金額が安すぎる業者は、必要な作業を省略したり、保護具などを使いまわしたりする可能性があるので、依頼を避けた方がよいでしょう。
アスベスト除去工事の経験が豊富な業者を選ぶ
アスベスト除去工事の経験が少ない業者の場合は、効率的に作業を進められず、人手や時間を要するため、工事費用が高くなる傾向があります。一方、経験が豊富な業者であれば、作業をスムーズに進めてくれるだけでなく、補助金制度も熟知していることが多いでしょう。
アスベスト工事の経験を確認する際は「資格保有者が在籍しているか」「施工実績を公開しているか」などをホームページで事前にチェックしておくのがおすすめです。
アスベスト含有スレート屋根の撤去を検討すべきタイミング
アスベスト含有建材は、飛散リスクに応じて3つのレベルに分類されます。アスベスト含有スレート屋根は、飛散リスクが最も低いレベル3に該当するため、撤去工事の緊急性は低いとされています。
ただし、スレート屋根にひび割れや浮きが発生している場合は、アスベストが飛散する可能性があるため、撤去を検討すべきタイミングといえるでしょう。
アスベスト含有スレート屋根を除去する以外の対処法
先述した通り、アスベストが使われているスレート屋根であっても、必ずしも撤去しなければならないわけではありません。そのため、工事費用や工期により、撤去工事の実施が難しい場合は他の対処法も検討してみましょう。
ここでは、アスベスト含有スレート屋根を除去する以外の対処法を解説します。
塗装
アスベスト含有スレート屋根の劣化がそこまで進んでいない場合は、塗装するのも一つの手段です。塗装にかかる費用は、塗料の種類によって異なりますが、おおよそ30万～150万円ほどが相場です。一般的に高価な塗料ほど、耐久性が高く、機能性も優れています。
カバー工法
塗装が困難なほど劣化が進んでいる場合は、カバー工法で対処するのが一般的です。カバー工法は、既存のスレート屋根を取り外さずに、新しい屋根材を上から設置する方法で、工事費用は50万～120万円ほどかかります。
古い屋根材を取り除き、新しい屋根材を設置する「葺き替え（ふきかえ）」よりも、工事費用を抑えられる反面、アスベストが残った状態になるのが難点です。そのため、建物の解体工事をするときに、アスベストの除去費用や処分費用がかかってしまいます。
スレート屋根にアスベストが含まれている可能性がある場合は解体業者に相談するのがおすすめ
スレート屋根にアスベストが含まれているかは、建築時期や設計図書からおおよそ判断できます。例えば、アスベスト含有率0.1％を超える製品の製造・使用は、2006年に全面禁止となったため、2006年以前に建てられた建物はアスベスト含有スレート屋根が使われている可能性があります。
アスベストが含まれているかを正確に判断するには、現地調査や分析が必要となるため、専門業者に依頼するのが確実です。屋根の劣化状態も合わせて確認してもらい、どの方法で対処すべきかを相談するとよいでしょう。
まとめ
アスベストが使われているスレート屋根の撤去工事には、30坪の住宅であれば、30万～50万ほどの費用がかかります。一般のスレート屋根の撤去工事と比べて費用が高いのは、アスベストの飛散防止対策や専用保護具が必要となったり、アスベストの処分費用が高額になりやすかったりするためです。
アスベスト含有スレート屋根の撤去費用を抑えるためには、複数の業者に見積もりを取り、補助金制度を活用することが大切です。撤去が難しい場合は、屋根の劣化具合に応じて塗装やカバー工法も検討してみましょう。
