店舗やオフィスの賃貸契約を終えて返却する際には、貸主に内装を解体したうえで渡す必要があります。しかし、内装の解体工事は頻繁に行うものではないため、詳しく知らない人もいるのではないでしょうか。今回は、内装解体工事の具体的な作業内容や流れ、費用の相場を解説します。
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内装解体とはどんな作業?
内装解体とは、建物の構造部分を除いた内装や設備を撤去する作業です。撤去する範囲はさまざまで、厨房設備や間仕切りの撤去のみを行うこともあります。一般的に内装解体をするタイミングは、テナントが店舗経営を終了するときやオフィスの拡大を行うときです。
スケルトン工事との違いとは?
内装解体とスケルトン工事の違いは解体する範囲です。スケルトン工事は建物の構造以外をすべて解体し、骨組みだけが残っている状態になります。たとえば、鉄筋コンクリート造の建物では、コンクリート打ちっぱなしの状態になります。内装解体では一部の内装を解体するだけなので、骨組みだけにはなりません。そのため、骨組みだけが残るスケルトン工事は内装解体と比べて、レイアウトを自由に変えられるのがメリットといえます。
また、スケルトン工事は設備を全て新しく入れ替える際に行われる工事です。次の借主が設備を揃える必要があるので、初期費用が高くなるデメリットがあります。一方、内装解体では設備を残すこともあるため、そのまま設備を使いまわせるメリットがあります。
内装解体までの流れ
次に内装解体を実施する前の流れを解説します。
①貸主との間で打ち合わせ
内装の解体前には、建物の貸主と工事範囲や工事期間などの打ち合わせが必要です。貸主によって「どの状態まで解体してほしいのか」「どの状態まで戻してほしいのか」が異なるので、トラブルを防ぐためにもお互いの認識を合わせておきましょう。
②解体業者の選定
打ち合わせのあとは解体業者の選定です。貸主に解体業者を指定される場合もあるので、事前に確認しておきましょう。
③解体業者による現地調査
次に解体業者による現地調査が行われます。建物の状況を確認のうえ、正確な見積もりを提示してもらいます。解体範囲の認識のズレを防ぐためにも、現地調査には必ず立ち会いましょう。
④近隣の住民や店舗への挨拶
近隣の住民や店舗への挨拶も忘れてはいけません。工事中は騒音や振動、ホコリが発生してしまうため、あらかじめ近隣に理解を求めておくことが大切です。なるべく解体業者の責任者と一緒に工事の内容や実施する時間帯の説明をしておきましょう。
⑤建物内の所有物の整理
建物内にある家具や設備などの所有物は、解体工事が始まる前に整理しておきましょう。解体業者に撤去を依頼することもできますが追加費用がかかるため、なるべく自分で済ませておくのがおすすめです。事前に建物内を整理しておけば、解体工事をスムーズに開始できるメリットもあります。
⑥ライフラインの停止依頼
次にガスや電気、水道などのライフラインの停止依頼を行います。ただし、水道は解体業者が清掃に使うケースがあるため、事前に確認しておきましょう。なおライフラインを建物全体で契約している場合は、事前にオーナーと打ち合わせが必要です。
内装解体工事の流れ
内装解体を開始する前に、共有部分や解体しない部分に傷が付かないように養生を行い、高所作業となる部分には足場を組み立てます。養生には、解体時の騒音や粉じんを抑える目的もあります。
養生完了後、設備機器や照明を撤去し、天井・壁・床と上から順番に解体していきます。内装の解体では、断熱材やホコリが飛散する可能性があるので、防塵マスクやゴーグルの着用が必要です。
また築年数の古い建物の場合は、アスベストが含まれている可能性があります。アスベストの撤去には特別な対策・保護具が必要となるため、必ず専門業者に相談しましょう。
アスベストの見分け方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
内装解体完了後の流れ
内装解体工事の完了後は「産業廃棄物の処理」と「現場と周辺の清掃」を行います。産業廃棄物を不法投棄したり敷地内に放置したりすると罰則を受けてしまうため、正しく処分する必要があります。
産業廃棄物の処分を解体業者に任せても問題ありませんが、適切に処理をしない業者もいるため、マニフェストの提出を依頼しましょう。マニフェストは産業廃棄物が適切に処理されたことを確認するための書類で、以下の情報がわかります。
- 廃棄物の種類や数量
- 運搬業者名
- 最終処分業者名
解体工事完了後には、解体業者に現場と周辺の清掃を必ず実施してもらい、最後に借主自身がホコリやゴミが残っていないかを確認しましょう。
内装解体にかかる費用の相場はどれくらい?
内装解体にかかる費用は、建物の用途や広さによって異なります。
建物の用途 | 費用相場 |
アパート・マンション | 15,000~40,000円/坪 |
飲食店 | 15,000~40,000円/坪 |
美容院 | 15,000~30,000円/坪 |
オフィス | 15,000~40,000円/坪 |
実際にかかる費用を把握するためには、解体業者に現地調査をしてもらい、見積もりを提出してもらうのが確実です。
内装解体の費用が高くなってしまうケースとは?
建物の用途や広さ以外にも、内装解体の費用を左右する要素があります。ここからは、内装解体の費用が高くなってしまうケースを解説します。
工事に手間がかかるケース
通常よりも手間がかかる工事である場合、解体費用が高くなります。たとえば個室や小上がりなど構造が複雑な飲食店は、解体に手間がかかるため、追加費用を取られることがあるのです。シンクやレンジなどの厨房設備が多いと、撤去後の水道管や配線の修復に費用がかかる可能性があります。
アスベストが使われているケース
内装にアスベストが使われている建物では、特別な対応が必要となるため解体費用が高くなります。アスベストは使用されている建材によって作業レベルが設定されており、作業レベルが1に近づくにつれて危険度と費用が高くなります。
アスベストの危険性や作業レベルは、こちらの記事で詳しく解説しています。
搬出に手間がかかるケース
搬出にかかる手間も、内装解体の費用が高くなる要素のひとつです。たとえば「2階以上でエレベーターがない場合」や「廃材を積むトラックが近くに置けない場合」は、廃材の搬出に手間がかかるため人手を要します。人手を増やすと人件費がかさむため、結果として内装解体工事の費用が高くなります。
廃棄物が多いケース
処分を依頼する廃棄物が多いと、費用が高くなってしまいます。解体後に発生する産業廃棄物はもちろんのこと、家具や家電など残置物にも処分費用がかかるので、廃棄物はなるべく自分で処分しておきましょう。
内装解体の費用を上手に抑える3つのポイント
内装解体の費用を抑える3つのポイントを解説します。
不動産会社を介さずに直接解体業者に依頼する
内装解体の費用を抑えるためには、不動産会社を介さずに直接解体業者に依頼しましょう。不動産会社が紹介・指定する解体業者に依頼すると、中間マージンがかかるため費用が割高になる可能性があります。スケジュールや工程、手続きの管理をしてくれるメリットもありますが、費用をなるべく抑えたいなら直接依頼するのがおすすめです。
建物内の所有物はなるべく自分で処分する
建物内の家具や家電などの所有物を自分で処分すると、内装解体にかかる費用を抑えられます。内装解体の費用には、廃棄物の運搬費や処分費が含まれています。そのため、解体業者が処分するものが少なくなるほど、費用が抑えられるのです。リサイクルショップに買い取ってもらえる家具や家電があるなら、事前に持ち込んでみましょう。
複数の業者に見積もりをとる
内装解体の費用を抑える3つ目のポイントは、1社だけでなく複数の業者に見積もりを依頼することです。複数業者へ見積もりを依頼して費用を比較したり価格交渉したりすると、解体費用が抑えられます。また、解体費用の相場を知ることにもつながるため、適正価格かどうかの判断がしやすくなります。
内装解体で気をつけるべきポイント
最後に内装解体で気をつけるべきポイントを解説します。
目指す状態を明確にする
内装解体をする際は、貸主や解体業者と打ち合わせを行い、目指す状態を明確にすることが大切です。内装解体は一般的に原状回復(借りたときの状態に戻す)を求められるときに行われますが、貸主の意向や建物の状況によって求められる状態が異なります。どこを解体してどこを残すのかは、現場を見ながら打ち合わせを行い、明確にしておきましょう。
信頼できる解体業者を選ぶ
内装解体をトラブルなく進めるためには、信頼できる解体業者を選ぶことが重要です。たとえば、他社と比較して明らかに安すぎる業者は、産業廃棄物の不法投棄や違法工事のリスクがあります。解体業者を選ぶ際は、見積もりとあわせて「内装解体工事の実績の多さ」「解体許可を受けているか」などから見極めましょう。
まとめ
内装解体は貸主が求める状態に戻すことが重要です。お互いの認識にズレが生じないように入念な打ち合わせを行いましょう。また解体工事には近隣の住民や店舗、建物の共有部分への配慮や、正しい産業廃棄物の処理が求められます。トラブルを避けるためには信頼できる業者へ依頼することが大切です。