日本の社会問題にもなっている空き家問題が深刻化しています。平成30年度の調査では空き家率は13.6%にも上り、年々増加傾向なのが現状です。ですが「空き家があるからといって、どんな問題があるかピンとこない」という方も多いと思います。そこで今回は空き家問題の概要や問題点、解決策などについて詳しく解説します。
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社会問題にもなっている空き家とは?
空き家とは、建物だけが存在していて、誰も住んでいない住宅です。
空き家は以下の4つの種類に分類されます。
- 売却用
売りに出しているが買い手がつかない、見つからないもの。
- 賃貸用
賃貸として入居者を募集しているが、入居者が見つからないもの。(空き室)
- 二次的利用
普段は利用されていない別荘などの予備的存在で管理者自体は存在するもの。
- その他
長期出張や長期入院で入居者はいるが、実質的に空き家になっているもの。また、管理者の死亡で、意図しないまま管理者となった親族が放置しているものも存在します。
空き家問題とは?
では、空き家が増えることによる問題は一体何でしょうか?一番問題なのは、空き家の種類のうち「その他」に属する、入居者がいるものの空き家同然になり、管理が行き届いていない家屋です。売却用、賃貸用は買い手や借り手が見つかることで解決しますが、入居者がいるにもかかわらず、放置されたり管理者を見つけることができず、宙ぶらりんな状態なケースが問題となっています。
その他にも、空き家が増えることによる問題は多岐にわたります。
- 空き家の老朽化
住宅は人が住むことで換気や温度調整がされ、劣化が緩やかになります。
一方空き家だと、天気により室内の環境が左右されてしまうため、本来人がいればありえないほどの高温や低温、湿度に晒されて老朽化が加速します。
- 手入れ不足による被害
空き家は手入れされないため、庭がある家なら雑草が生い茂り、虫が発生したりなど、衛生面的な不安があります。その他にも、修繕が行われないため、震災時などに倒壊して近隣の住宅にも被害が及ぶ可能性があります。
- 防災防犯上のリスク
空き家になるとホームレスの住処になったり、不法投棄される場所になってしまい、防犯上の問題もあります。
空き家問題は人口の流出が多い地方の問題という印象を受けると思います。ですが、人口が集中している主要都市でも、土地の価格が高いため買い手がつかずに放置されてしまったり、駅やバス停などの主要商業施設から遠いなど、利便性が低いため買い手が見つからずに放置されてしまうケースもあります。
また、地方都市では主要都市よりも土地が安い傾向が強く、格安で新築の戸建てを購入できるため、空き家の中古物件の買い手がつかないのも問題です。
空き家が増えてしまう原因
では、なぜここまで空き家が増えてしまっているのでしょうか。
それには、以下の4つの理由が存在します。
- 少子高齢化
- 所有者が放置してしまう
- 中古より新築がいいという考え方
- 節税のため
それぞれ1つずつ解説します。
少子高齢化
社会問題になっている少子高齢化は、空き家が増加している大きな原因となっています。以前は若者が多く、お年寄りが少ないという人口ピラミッドでしたが、現在はお年寄りが多く、若者が少ない逆人口ピラミッドの状態であり、以前の需要と供給のバランスが大きく崩れています。そのため、主要都市でも家が多数売りに出されているのが現状で、古くからある家は買い手がつかず、地方ではそもそもの人口減で家が余っています。
所有者が放置してしまう
別荘として購入したものの全く利用せずに放置したり、出張や入院などのやむを得ない状態で放置したり、望まないのにもかかわらず、遺産相続で家を所有することになったりなど、様々な原因で本来管理するべき所有者が放置してしまうケースです。この場合、新たに所有者をみつけるのが困難なため、空き家問題の中でも特に問題視されています。
中古より新築がいいという考え方
中古の空き家は比較的安く購入できますが、家全体が老朽化していたり、水回りが整備されていなかったり、風呂やトイレ、キッチンなどといった設備が古かったりなど、様々な問題もあります。
いくら空き家が安く買えるといっても、高額には変わりがないため「どうせ大金を出してローンを組むなら新築の家のほうが綺麗で設備が整っていて良い」という考えにいたるケースも多いでしょう。
その結果、供給過多であるにもかかわらず、新築の建設が増え続け、古い空き家は増えていく一方になっています。
節税のため
空き家でも固定資産税はかかりますが、空き家を壊し更地にすると「住宅地の特例」が受けられなくなり、固定資産税が高くなってしまいます。そのため、税金を安く抑えるためにあえて空き家を残しているケースが多いです。
空き家に関する税金
「節税のため」という項目でも軽く説明しましたが、空き家に関する税金として以下のものがかかります。
空き家を所有する場合の税金
- 固定資産税
- 都市計画税
固定資産税は土地・建物の所有者である国民全員が課せられる税金です。
仮に誰も入居していなくても、所有者には支払う義務があります。また、空き家の立地が市街化区域に指定されている場合、都市計画税も支払う必要があります。
ただし、これらの税金は「住宅用地の特例」条件を満たすことで安くすることもできます。
空き家を売却する場合の税金
- 所得税
- 住民税
空き家を売却する場合には、所得税と住民税がかかり、この所得を「譲渡所得」といいます。
算出方法は以下の計算式です。
「譲渡収入-取得費-譲渡費用=譲渡所得」
上記の譲渡所得に対して所得税や住民税が課税されます。また、これらの税金も「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」が設けられていて、譲渡所得から最高3,000万円まで控除可能です。
空き家を相続する場合の税金
- 相続税
- 登録免許税
空き家を相続する場合、相続税と登録免許税がかかります。相続税は「3000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除額を超える場合に納税額が発生し、登録免許税は「不動産の固定資産税評価額×0.4%」で計算されます。こちらも「小規模宅地等の特例」によって評価額を減額して、相続税を安くできます。
空き家問題を解決するための行政や民間の対策
ここまで紹介したとおり、空き家問題は様々な要因が組み合わさっておきており、一筋縄では解決できない問題です。それを解決するために、行政や民間の対策としては、どんなものが行われているか紹介します。
行政による対策
日本政府は空き家を減らすべく「空き家対策特別措置法」を制定し、空き家を再利用したり、税制の優遇に力を入れ、空き家の減少に力を入れています。
また、空き家対策特別措置法では、景観を損なったり、近隣住民への迷惑になるような空き家を「特定空家」に指定して、所有者に対し指導が可能です。
特定空家に指定されれば、指導が行われるだけでなく「小規模住宅用地の減額」という「固定資産税を最大6分の1に軽減」の措置が受けられなくなるデメリットがあります。
民間による対策
民間の空き家対策では各自治体や住民、民間企業が「空き家バンク」を実施したり、リフォームをして住宅から飲食店やゲストハウスなどに転身させる「空き家活用」が活発に行われています。
空き家を増やさないための解決策
では、空き家を増やさないためにはどのような解決方法があるのでしょうか。
現在おこなわれている取り組みを紹介します。
空き家バンクを利用する
各地域の自治体では移住者を増やす取り組みの一環で「空き家バンク」という取り組みがあります。サイトに空き家情報を掲載し、移住者や家を買いたい人とのマッチングをして空き家を無くす施策として注目されています。
空き家管理サービスを利用する
もし空き家が自宅から遠く、管理が行き届かない場合は空き家の管理サービスがあります。月額費用を払うことで、空き家の清掃や点検、郵便物等の確認を代行してくれます。
リフォームして貸し出す
空き家が賃貸に出しても借りられない理由は設備の古さが挙げられます。リフォームをして設備を最新のものに入れ替えてから貸し出すことで「格安で綺麗な家に住める」というメリットを作ってユーザーの興味を惹き、空き家を活用する方法があります。
売却する
空き家を処分する場合の理想は売却することです。売却するときも、リフォームをして住宅としての価値を高めることで、買い手が見つかりやすくなるでしょう。
ただし、売り手としては費用がかさむ分、赤字にもなりやすいと言われています。
解体して更地にする
「買い手も見つからず、管理もできないし手に負えない」そんな時の最終手段として、解体して更地にすることで空き家を無くす方法があります。土地だけにすることで売れやすくなったり、更地にすることで新たに戸建てを建てて自宅にすることもできます。
まとめ
管理者が存在するものの、様々な理由で放置されている空き家は、管理が行き届かず、街の景観を損ねたり、不法投棄の現場になったり、震災時に倒壊してしまう可能性があります。もし所有している空き家があるなら、特定空き家にならないための対策を、早めに始めることが大切ですので、どうすればいいか悩んでいる方は専門業者に相談してみましょう。