2022年4月からアスベストに関する法改正がありました。「法改正でどんなところが変わったの?」「そもそもアスベストがどういうものなのか知りたい」このように考えていらっしゃる方も少なくないかと思います。
本記事ではそのような疑問を解消していただけるように、解説を行います。ぜひ最後までご覧ください。
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そもそもアスベストとは?
アスベストは、石綿(せきめん、いしわた)と呼ばれている天然の鉱石のことです。
耐熱性に優れており、比較的値段が安いため、アスベストを利用した建材製品が1955年頃から2005年頃にかけて、建物における火災の抑制を図るため、色々な箇所にて用いられてきました。
例を挙げるならば、鉄骨造の建築物などに用いられる耐火被覆材や、住宅用屋根の化粧スレート、アスベストを含むタイプの断熱材、ロックウール吸音天井板など様々です。
しかし人々がアスベストを吸い込んでしまうと、およそ10年から数十年が経過すると、肺がんをはじめ、悪性中皮腫等の原因になってしまう危険性が高いことが判明し、段階的に利用ができなくなってきました。
2006年以前の建築物では、アスベストが利用されている可能性があるので注意が必要です。
解体工事前のアスベスト調査の一般的な流れ
1.専門家に調査を依頼
アスベストの事前調査は、一定の知見を有した上で的確な判断が可能な者が行うという定めがあります。
さらに2023年10月1日をもって、建築物に関するアスベスト調査は厚生労働大臣の定める講習の修了者等に実施させることが義務付けられるようになります。
そのため、ここで重要になるのは、「法改正に対応できる業者」を選ぶことです。
トラブルにつながることがないよう、慎重に業者を選定する必要があります。
2.アスベストの調査を実施
アスベスト調査は、書面調査はもちろん、現地調査も必須事項となっています。設計図書等のみで、アスベストの使用はないと決めつけずに、現地の状況を確認することが重要です。必要に応じて試料採取を行い、アスベストの分析調査も実施します。
万が一、アスベスト調査が不徹底の場合には施主が罰せられてしまうため、慎重に行いましょう。
3.アスベストの調査結果を報告
2022年4月1日からは、解体部分の床面積が80㎡以上の解体工事をはじめ、請負金額が100万円以上の改修工事等を実施する時は、アスベストが含まれている建材であるかどうかに関わらず、アスベストの調査結果を都道府県等へと報告しなければなりません。
またアスベストに関する調査結果は、調査記録を3年の間保存しておかなければならないようになるため、注意が必要です。
4.アスベストの調査結果を掲示
2021年4月から、解体工事の実施前に工事に用いた材料全てに対し、アスベストを含んでいるかどうかの調査を行い、その結果を該当現場の目視しやすい位置に掲示しなければなりません。
これらの掲示は元請業者が行うものであり、アスベストの含有有無に関わらず掲示する必要があります。
5.アスベスト除去工事の届け出
アスベストの除去工事には、各種届出が必要となります。一つずつ内容を確認していきましょう。
特定粉じん排出等作業実施届(大気汚染防止法)
吹付けアスベストをはじめ、アスベストを含む耐火被覆材や、アスベストを含む保温材等特定建築材料等の除去工事を実施する場合は、施主が工事を開始する14日前までに都道府県知事へ届け出を行わなくてはなりません。
工事計画届(労働安全衛生法)
耐火建築物や準耐火建築物の吹付けアスベストの除去を実施する場合は、施主が工事を開始する14日前までに、労働基準監督署長へ届け出る必要があります。
建築物解体等作業届(アスベスト障害予防規則)
アスベストを含む保温材をはじめ、耐火被覆材や、断熱材等の除去や封じ込め、囲い込みを実施する際、施工する業者は工事を開始するまでに、労働基準監督署長へ届け出を行わなくてはなりません。
アスベスト除去・解体工事の一般的な流れ
さて、ここからはアスベストに関する工事の大まかな流れについて見ていきましょう。
1.近隣の方への挨拶
ご近所トラブルにならないよう、近所の方には挨拶をしておきましょう。今後も住み良い環境を維持するにはとても大切です。もし可能なら業者の方と一緒に挨拶をされても良いでしょう。
2.引き込み配管・配線の撤去
ガスや電気、電話などがつながっている状態で工事を進めるのは危険です。
それぞれの引き込み配管や配線の撤去を専門業者に依頼しましょう。水道に関しては一般的に、工事中防じんの目的で登録業者が使用することになります。撤去を行う前に、念の為登録業者に確認すると良いでしょう。
3.足場の組み立て・飛散防止用シート掛け
作業員のための足場の組み立てが必要です。周辺環境次第では、工事の騒音を緩和するための防音パネルや、粉じんが飛ぶのを防ぐための外壁シートを取り付けます。アスベストを除去することになるため、慎重に飛散防止を行う必要があります。
4.家財道具などの撤去
アスベストを含む建材が利用されている天井を残し、建物内の工作物や機械類を撤去し、何もない状態にしていきます。その際、畳や瓦、住宅設備機器、各種不用品も撤去します。
5.アスベスト除去工事の実施
天井材をはじめ壁材や屋根材、外壁材等のアスベストを含む建材を撤去します。アスベストを除去してくため、水や飛散防止剤を撒くことにより、湿潤化等を図った上で工事を行わなくてはいけません。
実際に除去を行ったアスベストの運搬や処分は、産業廃棄物の処理業者に委託し、適切な処分を行うのが重要です。
6.建物内部の解体
本格的な解体工事の開始となります。まずは内装材や窓ガラス、サッシ等の撤去を行います。
7.建物本体の解体
続いて建物本体の解体を行っていきます。具体的には屋根→梁→柱→外壁の順序で解体を行い、基礎は掘り起こした上で撤去を行います。
8.廃材の分別、収集、搬出
次に廃材の分別を行います。手作業や機械を用いて、木材や鉄、プラスチック、コンクリートガラ等に分けていきます
9.地面にある障害物の有無の確認・整地
解体工事が終われば、廃材が地中に残ってしまっていないか、その下にコンクリートが入ってしまっていないかをよく確認する必要があります。
もしそれらが残っていた場合、後に大きなトラブルになるため、重要な作業と言えます。
アスベストに関する規制強化について
ここからはアスベストに関する規制の強化内容について大まかに見ていきましょう。
2021年4月から適用されている法改正の内容
- 石綿の事前調査は、設計図書やその他書面による調査と、特定建築材料の有無の目視確認により行われる。
- 工事の元請業者については、石綿の事前調査に係る記録を作成し、それを工事終了の日より3年の間保存しなければならない。
- 元請業者については、アスベストに関する工事が問題なく実施されているかを確認し、その確認結果を発注者に報告する義務が発生する。
2022年4月から適用される法改正の内容
- 建築物の解体を行う場合:対象の床面積の合計が80㎡以上
- 建築物の改造・補修を行う場合:請負金額の合計が100万円以上※
- 工作物の解体・改造・補修を行う場合:請負金額の合計が100万円以上※
※事前調査の費用は含まれないが、消費税は含むので注意が必要。
2023年10月から適用される法改正の内容
- 一般建築物石綿含有建材調査者(一般調査者)
- 特定建築物石綿含有建材調査者(特定調査者)
- 一戸建て等石綿含有建材調査者(一戸建て等調査者)
なお、一戸建て等石綿含有建材調査者については、一戸建て住宅及び共同住宅の住戸内部のみ調査を行うことができます。
報告が必要な工事とは?
対象が建築物
報告が必要な工事例
- 延床面積30坪の2階建て木造住宅(1階と2階の床面積の合計が約82.5㎡)の解体工事
- 床面積の合計が120㎡の倉庫を自主解体する工事
報告が不要な工事例
- 床面積の合計が15㎡の小屋の解体工事で、請負代金が400万円のもの(解体工事については面積のみで判断されるため))
- 床面積の合計が400㎡の建築物の給湯器の交換工事で、請負代金の合計金額が50万円のもの(改造・補修工事については、請負代金のみで判断されるため)
調査・報告ともに不要な作業例
- 木造の建物の木材部分のみに穴をあける作業(ケイ酸カルシウム板などのボード類や、モルタル、塗装材等にも穴をあける場合は調査等が必要です。)
- 畳や電球を交換する作業(照明設備の本体を交換する場合は調査等が必要です。)
対象が工作物
報告が必要な工事例
- 非常用のディーゼル発電機の補修工事で、請負代金が400万円のもの
- 変電所の変電設備の改修工事で、請負代金が500万円のもの
報告が不要な工事例
- 道路に埋設された水道管の解体工事で、請負代金が400万円のもの(環境大臣が定める工作物の配管には水道管を含まないため)
調査・報告ともに不要な作業例
- 道路の舗装の補修作業(排水設備などの交換・補修を伴う場合には、調査等が必要です。)
- 道路に埋設されているガス管の補修作業
アスベストの調査には補助金制度があります!
アスベスト調査には補助金が適用されるケースがあります。調査の義務化は費用負担面に目が行きがちですが、補助金を上手く利用することでその負担を軽減することができます。
1棟あたり◯万円の補助があるなど、補助制度は多様です。地方公共団体により補助内容は異なっているため、内容をよく確認してみましょう。
まとめ
アスベストに関する法改正が、度重なって行われています。人々の健康状態に大きな影響を与えかねないものであるため、慎重に対処していかねばなりません。
補助金制度なども上手く活用し、専門業者と連携しながら、適切な工事を行いたいですね。