家やマンション、アパートを解体する際に「アスベスト」という単語を聞いたことがある人も多いでしょう。現在、アスベストを使用した建築は全面的に禁止されており、2023年10月1日には、アスベストに関する法が改正されることが決まっています。この記事では、アスベストに関する基礎はもちろん、「法の改正によって何が変更されるのか」「なぜアスベストの規制が厳しくなったのか」についても分かりやすく解説しています。
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そもそもアスベスト(石綿)とは?
「アスベスト」という単語は知っていても、どのような物質なのか詳しく知る機会はあまりありません。まずは、そもそもアスベストとはどのようなものなのか、特徴や健康被害について知識を深めましょう。
アスベスト(石綿)の特徴
アスベストとは、綿をほぐしたような繊維状の鉱物のことを指します。石綿とも呼ばれていて、カナダや南アフリカ、国内では北海道で自然発生が確認されています。アスベストには「熱に強い」「加工しやすい」「吸音・吸着性がある」などの特徴があり、その利便性から多くの建築工事で使用されていました。
アスベスト(石綿)による健康被害
「奇跡の鉱物」とも呼ばれ、重宝されていたアスベスト。しかし、長い期間に大量に吸入してしまうと、肺がんや悪性中皮腫、じん肺などの原因になってしまうことが明らかになりました。アスベストの潜伏期間は10年以上と言われており、病気の発症の原因がアスベストであると発覚するまで時間がかかってしまったことも問題となりました。
アスベスト(石綿)のレベル毎の違い
アスベストには1〜3のレベルが設定されており、レベル1が最も危険です。レベルは、粉塵の発生率を表す「発じん性」によって分けられ、レベル1が著しく高い、レベル2が高い、レベル3が比較的低いに設定されています。
レベル1は、解体工事の時にアスベストが飛散する可能性が高く大変危険です。そのため、きちんと届け出を行なった上で、専用のマスクや保護着を使った撤去作業を行なわなければなりません。レベル2の場合は、レベル1よりも簡易的な飛散対策になり、レベル3では厳重な対策は不要とされています。ただし、レベルに関わらず、近隣住民・周囲への注意喚起や行政への届け出が必要です。
アスベストの規制が厳しくなった背景
アスベストに関する規制は、年々厳しく変化しています。1975年に含有率5%以上の吹き付け作業が禁止されたのをきっかけに、2006年には使用はもちろん、製造や輸入も全面的に禁止されました。
長きに渡ってアスベストの規制が見直され、厳しくなっている理由は、当初規制の対象外だったレベル3のアスベストの飛散が問題視されたこと、解体工事前の調査でのアスベストの見落とし、解体作業後にアスベストが正しく撤去されなかったなどの問題が発生し続けていたことなどが考えられます。
2021年4月1日に施行されたアスベスト法改正の内容
2021年4月1日に「大気汚染防止法」が改正され、アスベストに関する法も改正されました。ここでは、8つの改正点を一つずつ解説します。難しく感じるかもしれませんが、2023年10月の改正に向けて、理解を深めましょう。
事前調査の方法の法定化
事前調査とは、建物の解体工事の前に行なう「書面調査」と「目視調査」のことです。書面調査では設計図などの図面をチェックし、目視調査では現地で建物を確認します。アスベストが使用されているかどうか分からない場合は、建材を採取する「分析調査」を行ないます。
調査結果を3年間保存することの義務化
2021年4月以前は、事前調査で調査した内容は必ずしも保存する必要はありませんでした。しかし、不適切な事前調査を防ぐため、法の改正によって3年間の保存が義務付けられました。
作業計画作成の義務化
アスベストが含まれている建材を撤去する時には、事前に作業計画の作成が必要になりました。作業計画は、レベルに関わらず作成する義務があります。
レベル3のアスベスト建材も規制対象に追加
2021年4月以前は、レベル1とレベル2の建材のみが規制の対象でした。しかし、改正後はレベル3の建材も規制の対象に。それに伴って、除去作業の基準も明示されました。
アスベスト含有仕上塗材の規制緩和
改正前は、アスベストが含まれた仕上げ塗材はレベル1とされていましたが、法改正によってレベル3に変更されました。しかし、除去の方法によっては通常より多くアスベストが飛散する可能性があるため、他のレベル3の建材とは別に作業基準が設けられました。
罰則の追加
改正前は、レベル1、レベル2の工事の際、作業基準を守らなかった人に対して行政命令を下し、命令に従わなかった場合のみ罰則が科せられていました。改正後は、行政命令は行なわず、作業基準を守らなかった人全てに、3か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるようになりました。
有資格者による施行後の確認作業の必須化
工事が完了したら、「アスベスト診断士」「石綿作業主任者」など、アスベストに関する資格を持っている人の確認が義務付けられました。ここでは、アスベストが含まれた建材が残っていないかのチェックを行ないます。
書面・記録の3年間保存の義務化
アスベストの除去工事が完了したら、作業状況や完了の旨を記録した書面を発行します。それらの書面は、3年間保存しておくよう義務付けられました。
2022年4月1日に施行されたアスベスト法改正の内容
2022年4月1日からは、新たに事前調査の報告についての法が改正されました。改正内容は、解体工事以外にも、リフォームやリノベーション、改修工事も対象となります。
アスベスト事前調査結果の報告の義務化
2022念4月1日からは、これまで義務化されていなかったアスベスト事前調査結果の「報告」が義務化されました。「石綿事前調査結果報告システム」からオンラインでの結果報告が原則です。また、1〜3全てのレベルでアスベスト事前調査結果の報告が必要です。
2023年10月1日に施行されるアスベスト法改正の内容
2023年10月1日からは、アスベスト事前調査の調査者についての法が改正されます。法改正後は、建築物のアスベスト事前調査や分析を行なえるのは、決まった資格を持つ調査者に限定されます。
有資格者の事前調査・分析を義務化
これまで、建築物にアスベストの事前調査・分析を行なう場合、資格は必須ではありませんでした。しかし、2023年10月1日からは「石綿含有建材調査者」の資格を持っている人、もしくは日本アスベスト調査診断協会に登録している人だけが事前調査を行えます。ただし、資格が必須となるのは「建築物」のアスベスト事前調査のみ。工作物などのアスベスト事前調査は、特定のものを除き、無資格者が調査を行なっても違法にはなりません。
まとめ
アスベストには1〜3のレベルがあり、継続的に大量のアスベストを吸入すると、健康被害が発生する可能性があります。また、環境にも影響を及ぼすことから、これまで何度も規則や法律が見直されてきました。2023年10月1日からは、建築物のアスベスト事前調査・分析が有資格者に限られます。現在、無資格で事前調査を行なっている方は、早めに必要な資格を取得するのがおすすめです。今後、さらにアスベストについての規則が強化される可能性もあるため、随時動向をチェックする必要があるでしょう。