木造一戸建てを解体する際、アスベストが使用されているかどうか気になる方も多いでしょう。2006年以前に建てられた木造一戸建ては、アスベストが使用されている可能性があります。この記事では、アスベストの基礎から、木造一戸建てでアスベストが使用されている場所、アスベスト調査の流れを解説しています。
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そもそもアスベストとは?
アスベストとは、「石綿」とも呼ばれる繊維状の鉱物です。アスベストは熱や火に強く、防音性も高かったことから、様々な建築物に使用されてきました。主に柱の吹き付け材や、屋根材として使われることが多いです。しかし、1995年ごろにアスベストが健康に被害を及ぼす危険性があることが分かり、2023年現在はアスベストの使用は禁止されています。アスベストは発じん性(粉じんの飛散率)によって1〜3のレベルに分けられ、安全に解体作業を行なうことが義務付けられています。
レベル1
レベル1は、アスベストの中で最も発じん性が高いとされています。エレベーターや立体駐車場に吹き付け材として使用されていることが多く、解体作業の際の飛散リスクが非常に大きいです。レベル1のアスベストが使用されている建物は、まずアスベストの撤去を行なってから解体作業に移る必要があります。
レベル2
レべル2は、レベル1よりは発じん性が劣るものの、大量飛散の可能性もあり大変危険です。ボイラーや配管の保温材として使われていることが多く、シート状で巻きつけて利用されています。レベル2も、レベル1と同様にまずアスベストの撤去を行なってから、解体などの作業に移らなければなりません。
レベル3
レベル3は、レベル1とレベル2に比べて、発じん性が比較的低いとされています。板状に加工され、屋根や外壁に使用されていることが多く、割れにくいのが特徴的です。そのため、解体作業の際にも飛散のリスクが少ないでしょう。レベル1、レベル2のように厳重な飛散対策は不要ですが、慎重な作業が求められます。
アスベストが原因となる病気
1995年ごろ、アスベストを大量に吸引したことによる重大な健康被害が問題となりました。例えば、肺が線維化して硬くなる「石綿肺」や「肺がん」が挙げられます。さらに、臓器にできる悪性腫瘍「悪性中皮腫」、胸を覆う膜が線維化する「びまん性胸膜肥厚」など、様々な病気の原因となることが分かりました。アスベストは、吸引後から潜伏期間が長く、病気の進行になかなか気付けないことも問題視されています。
アスベスト調査の義務があるのは誰?
2022年4月1日より、解体工事の前にアスベスト調査を行なうことが義務付けられました。アスベスト調査の実施・報告の義務があるのは、解体工事を行なう元請業者です。もし未実施で作業を行なったり、虚偽の報告をした場合は刑罰の対象となります。そのため、信頼できる解体業者を見極めて依頼をする必要があるでしょう。また、2023年10月1日からは、アスベスト調査が行なえるのは有資格者のみとなります。
アスベストの規制に関する歴史
汎用性の高い鉱物として重宝されていたアスベストですが、健康被害が明らかになりアスベストの使用に規制が設けられるようになりました。1975年、重量が5%を超える石綿の吹付が原則禁止となり、改定を重ねて2006年には重量が0.1%を超える石綿含有製品の使用が禁止されました。2012年からはアスベストの使用が全面的に禁止されています。また、事前調査の義務付け、報告の義務付けなど、現在もアスベストに関する規制は更新され続けています。
木造一戸建て住宅で使用されるアスベストはレベル3が多い
アスベストは、先述したように1〜3のレベルに分けられています。木造一戸建て住宅に使用されているアスベストの多くが、レベル3と言われています。レベル3は発じん性が低く、他のレベルと比べて危険度は低いです。しかし、周囲への注意喚起や飛散対策は必ず行なわなければなりません。ごく稀に、木造一戸建て住宅でも、吹き付け材にアスベストが使用されており、含有量の多さからレベル1として扱われるケースもあります。

木造一戸建てでアスベストが使われている可能性のある場所
では、実際に木造一戸建てのどこにアスベストが使われているのでしょうか。ここでは、アスベストが使用されている可能性の高い場所を紹介します。解体工事を行なう時には、取り扱いに気を付けて作業をしてもらいましょう。
屋根葺き材
屋根葺き材とは、屋根を覆う屋根材の総称です。屋根材は大きく分けて約8種類ありますが、その中でもアスベストが使われている可能性が高いのが「スレート瓦」と「セメント瓦」です。それぞれの特徴を見ていきましょう。
スレート瓦
スレート瓦には「天然スレート」と「化粧スレート」の2種類があります。その内、アスベストが使用されている可能性が高いのは「化粧スレート」です。2006年以前の化粧スレートは、セメントとアスベストを混ぜ合わせて作られたものが多く、解体には注意が必要です。コーティングが剝がれている、劣化によって一部分が欠けている場合は、特に飛散対策をしっかり行なう必要があります。
セメント瓦
セメント瓦は、セメントと砂利を混ぜ合わせて作られています。しかし、中には微量のアスベストが含有されているケースもあります。セメントで固められている瓦ならば、日常生活でアスベストが飛散する可能性は低いです。しかし、解体工事を行なう時には、微量であっても適切に処理をしなければなりません。
外壁材
外壁材とは、建物の一番外側を覆う建材のことです。多種多様な建材がありますが、特に「サイディング」はアスベストが使われている可能性が高いでしょう。あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、解体の際には取り扱いに注意が必要です。
サイディング
外壁材の一つであるサイディングは、木材や金属、樹脂などの素材が使われています。サイディングは建物の一番外側を覆うため、日差しや雨への耐性が必要です。そこで、熱や水分への耐性があるアスベストが使用されていました。2006年以前に建てられた建築物の場合は、サイディングが使用されていることが多く、屋根葺き材と同じく慎重に工事を進める必要があるでしょう。
アスベストを調査する際の流れ
それでは、実際にアスベスト調査をする際の流れをご紹介します。アスベストの調査は、大きく3段階に分けられ、入念に調査・分析を行ないます。調査の流れを頭に入れておくことで、スムーズに解体を進められるでしょう。
書面調査
まずは、設計図などの書面でアスベストの有無を確認します。建設された時期や、改修を行った場所、使用建材の種類など、細かいチェックが必要です。施主側も、事前に書類を用意して調査へ協力しましょう。
目視調査
書面調査でアスベストの有無が分からなかった場合や、書類が不十分だった場合は、目視調査を行います。目視調査では、調査員が実際に現場に行き、直接アスベストの有無を確認します。書面調査で目星を付けておき、目視調査で実際の有無を確認することが多いです。
分析調査
目視調査だけでは見えない部分や判断しきれなかったものは、建材の一部を持ち帰り、分析調査を行います。分析調査では、アスベストの有無をしっかりと判断するために「定性分析」と「定量分析」によって調査を行います。
定性分析
定性分析とは、建材にアスベストが0.1%以上含有されているかを調べる分析方法です。顕微鏡を使う方法やX線を使う方法があり、それぞれ判定にかかる時間や費用が違います。定性分析を行うことで、アスベストの有無の確実な判断が可能です。
定量分析
定量分析とは、建物にどのくらいの量のアスベストが含有されているかを調べる方法です。主に定性分析の後に行われることが多いです。顕微鏡を使ってアスベストの質量を求めるため、専門的な知識と技術が必要となります。
報告書の作成
調査が終了したら、調査内容や調査結果を報告書にまとめます。報告書は、解体業者にとっても施主にとってもその後の工事を左右する重要な書類です。報告書の作成がスムーズに行われないと、除去工事やその後の解体工事に支障が発生してしまうでしょう。
木造一戸建てのアスベスト解体業者を選ぶ際のポイント
最後に、木造一戸建てのアスベストを除去し、解体する際の解体業者の選び方のポイントをご紹介します。先述してきたように、アスベストは大変危険で除去の際にも細心の注意が必要です。最後まで責任を持って適切な処理を行ってくれる業者を選びましょう。
資格の有無を確認する
これまで、アスベスト調査は特定の資格がなくても調査可能でした。しかし、2023年10月1日の法改正により、アスベスト調査が行えるのは有資格者のみとなります。今から木造一戸建ての解体を行う場合は、有資格者がいる業者に依頼する方が安心でしょう。アスベスト調査を行える資格は「石綿作業主任者」や「アスベスト診断士」「建築物石綿含有建材調査者」があります。依頼の前に、資格の有無を確認しておきましょう。
見積もりの詳細を教えてくれるか
契約を結ぶ前に、見積もり書をしっかり確認しておくことも大切です。見積もりの詳細が明らかになっておらず、不当に金額が高い場合は内訳を問い合わせましょう。反対に、平均よりもかなり安い金額を提示してきた場合も注意が必要です。適当に作業を行ったり、後から高額な費用を請求される可能性もあります。自分が納得できる、適切な値段と内容で契約を結びましょう。
まとめ
アスベストは、大量に吸い込むことで「石綿肺」や「肺がん」などの原因となる可能性があります。そのため、建築物を解体する時には、アスベストの有無を事前に調査しなければなりません。木造一戸建てに使用されているアスベストは、レベル3のことが多く、比較的危険度が低いですが、慎重な作業が求められます。資格の有無や見積もりの詳細を確認し、安心して、調査や除去作業を任せられる業者を選びましょう。