建物の解体工事には、建設リサイクル法やアスベストに関するさまざまな届出が必要です。ところが、解体工事は頻繁にするものではないため、どのような届出が必要なのかを知らない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、解体工事に必要な届出を詳しく解説します。工事に伴って施主がするべきことや、解体業者の選び方もまとめているので、工事前の不安を払拭したい人は、ぜひ参考にしてみてください。
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解体工事の届出は業者に委任できる
解体工事に必要な届出は、委任状を書くことで解体業者に任せられるものが多くあります。ただし、建物滅失登記のように、解体業者ではなく登記の専門家(土地家屋調査士)に委任する必要があるものもあるので注意が必要です。
なお、施主に提出義務がある届出もあり、提出を怠ると罰則を受ける可能性があるため、注意しましょう。
解体工事前に必要な届出
まずは、解体工事前に提出が必要な届出を解説します。
届出名称 | 届出義務者 | 提出時期 | 届出を怠った場合の罰則 |
建設リサイクル法に関する届出 | 施主 | 工事日の7日前まで | 20万円以下の罰金 |
建築物除去届 | 施主 | 工事日の前日まで | 50万円以下の罰金 |
アスベストに関する届出 | 発注者または自主施工者 | 工事日の14日前まで | 3ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金 |
道路使用許可 | 工事業者 | 工事日の7日以上前まで | 3ヶ月以下の懲役、または5万円以下 |
建設リサイクル法に関する届出
建設リサイクル法とは、解体工事や建設工事で発生する廃材を適切に処理し、再資源化を促すための法律です。
自治体は、建設リサイクル法に基づいて廃材が正しく処理されたかをチェックします。そのため、法律で定められた以下の条件を満たす建物を解体する場合は、工事前に廃材の見込み量を自治体に報告しなければなりません。
- 特定建設資材(コンクリート、木材、アスファルト、コンクリートや鉄からなる建設資材)が使われている
- 床面積の合計が80㎡以上
なお、建設リサイクル法の届出は、工事が始まる7日前までに、施主が都道府県知事へ提出する必要があります。準備する書類は以下の通りです。
- 届出書
- 分別解体等の計画表
- 工事の工程表
- 案内図(地図)
- 設計図または建築物全体がわかる写真
解体業者に委任もできるため、見積もりの段階で詳細を聞いておきましょう。
建築物除却届
床面積が10㎡を超える建築物を除去する場合、解体工事の前日までに都道府県知事へ「建築物除去届」を提出する必要があります。建築物除去届の義務は施主にありますが、解体業者への委任も可能です。
なお、除去する建築物の床面積が10㎡未満の場合や、解体後に新しく建築物を建てる場合は、建築物除去届を提出する必要がありません。
アスベストに関する届出
解体工事で飛散性が高いアスベスト建材を扱う場合は、アスベストに関する届出が必要です。アスベストは飛散する危険性によって3つのレベルに分類され、危険度の高いレベル1とレベル2に該当する工事は届出の対象となります。
アスベストの届出は、作業する14日前までに都道府県の窓口に提出しなければなりません。なお、各自治体の窓口は、環境省のホームページから確認できます。
アスベストのレベルによる危険性や対策の違いは、こちらの記事で詳しく解説しています。
https://active-okayama.com/asbestos_level/
道路使用許可
道路を交通以外の目的で使用する際は、事前に「道路使用許可」を取らなければなりません。たとえば、解体工事で道路にトラックを停めて足場材を搬入したり、廃材を搬出したりする場合は、許可を取る必要があります。
道路使用許可は、申請書と添付資料(現場周辺の地図など)を準備し、解体現場を管轄する警察署長に申請します。地域によって異なりますが、許可が下りるまでに7日間ほどかかるため、工事に間に合うように余裕をもって申請するようにしましょう。
解体工事後に必要な届出
解体工事後には「建物滅失登記申請」を法務局に届け出る必要があります。
建物滅失登記申請は建物の所有者に届出義務がありますが、土地家屋調査士(登記の専門家)に委任することも可能です。解体業者に連携している専門家がいる場合は、ほかの届出と合わせて委任できるかを確認しておきましょう。
建物滅失登記申請は、建物が滅失してから30日以内に以下の書類を提出しなければいけません。
- 申請書
- 取り壊したことがわかる証明書
- 地図
- 解体業者の印鑑証明書
申請を怠ると、10万円以下の過料が科せられます。
解体工事の届出以外に施主が行うこと
解体工事をスムーズに進めるには、届出以外にも注意すべきことがあります。ここからは、解体工事の届出以外に施主が行うことを解説します。
近隣住民への挨拶
解体工事は騒音や振動が発生するため、近隣住民への挨拶が欠かせません。挨拶をしないまま工事を進めると、近隣住民のストレスが大きくなり、トラブルにつながりやすくなってしまうからです。
近隣住民への挨拶は、工事が始まる1週間前から10日前までに済ませておくのが一般的です。工事の内容を詳しく説明できる担当者に同行してもらい、不要なトラブルが発生するのを防ぎましょう。
解体工事前に挨拶をする際のポイントやタイミングは、こちらの記事で詳しく解説しています。
https://active-okayama.com/beforehand_greeting/
ライフラインの停止
解体工事の前には、電気やガスなどのライフラインを停止しておきましょう。契約している会社のお問い合わせ窓口に連絡すれば、簡単に停止できます。ただ、停止までに期間を要する場合もあるため、解体工事が決まったら可能な限り早めに連絡しておくのがおすすめです。
なお、解体工事で水道を使う場合もあるので、停止するかは自己判断せず業者に確認しましょう。
不用品の処分
不用品の処分も、施主が済ませておきたいことの一つです。
原則、建物内にある残置物の処理責任は、所有者にあります。残置物の処分を解体業者に依頼することも可能ですが、自分で処分するよりも費用がかかります。そのため、可能な限り事前に不用品を処分しておくのがおすすめです。
なお、以下のような廃家電4品目は「家電リサイクル法」に従って適切に処分する必要があります。
- エアコン(セパレートタイプ・ウィンドタイプ)
- テレビ(ブラウン管式、液晶・プラズマ式)
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 洗濯機・衣類乾燥機
不用品の処分は慎重に進め、早めに対処しておきましょう。
解体業者選びで見るべきポイント
解体工事に必要な届出は、業者に委任できます。ただし、届出を怠る業者を選んでそのまま工事を進めてしまうと、施主が責任を問われるリスクがあるのです。
ここからは、届出を適切にしてくれる業者かを見極めるポイントを解説します。工事を依頼する前に信頼できる業者かを必ず確認しましょう。
現地調査を行うか
解体業者を選ぶときは、現地調査をしてくれるのかをチェックしましょう。現地調査をしていなければ、どの届出や許可が必要なのかを正しく判断できないからです。実際に、現地を見てみないと、アスベストの調査や道路使用許可の必要性を判断するのは困難です。
現地調査の段階で、届出に必要な写真を撮る業者も多いため、裏を返せば「現地調査をせず、現場の写真を撮らない業者」は届出を怠る可能性があるといえます。
許可や資格を所有しているか
解体工事を依頼する際は、許可や資格を所有している業者かを確認することも大切です。解体工事をするためには解体工事業登録、一定金額を超える解体工事には建設業許可が必要です。また、アスベストの取り扱いや重機の運転にも、許可や資格の保有が求められます。
許可や資格を所有していない業者は違法工事をしているケースが多く、届出も怠っている可能性が高いといえます。依頼先を決める際は、業者のホームページや国土交通省の「建設業者検索」などから、許可や資格を所有しているかを確認しましょう。
詳細な見積書を作成しているか
詳細な見積書を作成してくれる業者は、比較的安心して任せやすいといえます。
届出書の作成や提出をお願いする場合、解体業者側に委任費用を支払う必要があります。公的機関に届出を提出する際にも手数料が発生するため、本来は見積書の項目として届出にかかる手数料が含まれるはずです。
ところが、見積書の内容を曖昧にして、届出を怠る業者もいます。
手数料の項目が見当たらない場合は「どの項目に含まれているのか」「なぜ記載されていないのか」を聞いてみるのがよいでしょう。それでも詳細に説明してくれない業者には、依頼しないように注意が必要です。
まとめ
解体工事の届出は、業者に委任できるものが大半です。ただし、業者が届出を怠った場合は、施主が責任を問われることもあります。そのため、届出の提出時期や必要な書類は、可能な限り把握しておくことが重要です。
また、届出をきちんとしてくれる業者かを見極めることも大切です。本記事で解説した業者選びのポイントも参考にしながら、工事前の準備をスムーズに進めてくれる業者を見つけましょう。